男女比1:1000の異世界でチートスキル【オラオラ営業】でナンバーワンホスト目指します!~童貞姫騎士は僕の財布~
園業公起
第1話 異世界かブラジルか
今日も学校に行くのが憂鬱だ。僕はずっと女子にいじめられている。きっと僕がガイジンだから気に入らないのだろう。昨日なんて裸にされてビキニパンツにニーソックスを履かされた上に女子トイレでいっしょにチェキ写真を何枚も撮られて悔しい思いをさせられた。その前の日はノーパンスカートにさせられて授業を受けさせられ、そのまた一昨日は履いていたボクサーパンツを奪われて目の前で匂いを嗅がれるなんて言う恥ずかしい思いをさせられた。その前の日はスカートの中を下敷きで両手が痛くなるまで仰がされた。
「ちくしょう…今日もきっといっぱい虐められるんだ…」
みんなの前で僕の嫌いなイチゴ入りの酸っぱいチョコレートを口移しにたべさせられた時の恐怖がフラッシュバックしてくる。女子は嫌いだ。可愛い顔をしてボクを弄ってくるから大嫌いだ。だけど今日の僕は一味違う。
「ちょっと!
「屋上とかまるで告白みたいじゃん/////」
「まじ照れるんだけど////」
いつも僕を虐めている学園4大美少女の三人が僕を嫐るような恐ろしい目で見ている。
「やっと素直になる気になったのかしら?ハルヤ・アウミール・ナシメント・ヒイラギ?」
四大美少女の筆頭にして僕の元幼馴染の
「僕はもう君たちには付き合いきれない!さようなら!」
僕は屋上から中庭に向かって飛び降りる。女の子たちの悲鳴が聞こえた。やった!これでトラウマを植え付けてやれたぜ!僕のいじめられっ子人生にもこれでリベンジができた。そうおもったのだが。
「ぶへぇ!」
僕は中庭の木の枝にぶつかる。それがまるでクッションの様に柔らかく僕を受け止めて、そのまま緩く地面に着地してしまった。
「あれぇ?」
ド派手に死ぬはずだったのに死ねなかった。屋上を見ると四大美少女の三人と維守がボロボロと泣きながら、でもどこか安心したような笑みを浮かべていた。ええ…。結果的に笑顔にしたら駄目じゃん。僕はがっかりした。その瞬間。
「きゃー!居眠り運転のトラックよ!」
振り向くとそこには居眠りしたおっさんの運転するトラックがすぐそこに迫っていた。いやいや!おかしいだろ!ここ中庭!トラックはいるスペースないんだけど!?だけどそんなツッコミも虚しく僕はトラックに轢かれて空を舞った。
「わしは神じゃ((^J^)」
「うすら禿げで顔の半分が陰に隠れていてその上腹が出ていてブリーフ一丁でしかも毛深いのに?」
「すまんのう。手違いでお主は死んだのじゃ(*´▽`*)」
「顔文字きもい。おっさん構文?」
「だからチート特典をつけてブラジルのヒウ・ヂ・ジャネイロのファベーラか、異世界に転移させるぞい」
「なんでブラジルと異世界?!その二つが天秤なのなんで?!てか死んだんなら転生じゃないの?」
「だってお主は母親ブラジル人でご先祖様に様々な人種がいるおかげで、各人種のいいとこを取った天然でデザイナーズベイビー以上の美貌もっておるのだものじゃ!」
「でもみんなガイジンって僕を虐めるんだ…」
「美しいものは群れから逸れるしかない…。そして旅に出て王になる。それが運命…」
「じゃをつけろ」
「じゃじゃじゃじゃーん!」
「うっせーぼけぇ!!」
「で、ブラジルと異世界どっちがいいのじゃ?」
「異世界!」
だってブラジルってブラジルだよ?修羅の国だよ。ミリシャやギャングはまだわかるけど、警察もガンガン犯罪しまくるんだよ。異世界の方が絶対ましでしょ。どう考えても僕がブラジル行っても”絶望”と”サンバ”っちまうのがオチだと思う。
「ではチート特典をあたえるぞい!じゃじゃじゃーん!」
「じゃがうぜえええ!!」
「では特典をつけおわったのじゃ。旅立つのじゃ」
そして僕は異世界に旅立ったのだ。
目を開けるとそこは明らかに異世界の街並み…風に見えるだけでエアコンの室外機とか置いてある路地裏だった。そこから表に出る。なお僕の格好は学ランのままだった。
「ステータスオープン!」
何も出なかった。これはあれか。ギルドとかでは見れる古風な凝ってるタイプの異世界か。とりあえず冒険者ギルド行こう。道行く人に尋ねようと思ったのだが、女の人しか歩いていなかった。怖い。男の人いないの?みんな仕事かな?仕方がない。僕は近くのお姉さんに話しかける。
「すみません。冒険者ギルドってどっちですか?」
「você é homen? não,acredito...」
ポルトガル語じゃねぇか?!ここ異世界じゃねぇのかよ!?ブラジル?!あのうすら禿げまた手違いしやがった!僕はポルトガル語が一応できる。今この女の人変なこと言った。酷く驚いた顔をしながらこう言ったのだ。
【あなた男なの?そんなのありえない!】
ちゃんと男のつもりなんだけどな。まあ女の子にいじめられまくるようなダメダメ陰キャだけど。
(めんどいからここから先は日本語訳しまーす)
「あなた。シスターは?もしかして男なのに一人なの?」
「はい。ひとりぼっちです!だから冒険者になりたいので、ギルドに連れてってください!」
お姉さんはひどく歪んだ笑みを浮かべた。
「ええ。いいわよ。ついてきて」
そのままお姉さんについていく。段々とスラムっぽい雰囲気になってくる。たかギルドに連れてってくれるってことはここはブラジルではなく、ブラジルっぽい異世界のようだ。
「へへへへ…。ように兄ちゃん…服ぬぎなぁ…」
気がついたら路地裏で屈強なモヒカンの女の人たちに囲まれていた。やばい?!カツアゲ?!でもチートがあるはず!
「スキル!スキル!スキル!」
何も出なかった。やばい?!もしかして俺って非戦闘系のチート?!
「早くちんすこうだせよ。あたしらの膜が疼いて仕方ねぇんだよ」
膜って何?でも雰囲気がなんか怪しいので怖気を感じる。
「そこの少年!伏せろ!」
男の声が聞こえた。僕は言われたとおりに伏せる。するとどんと音がしてあたりに煙がまき散らされる。
「催涙弾か?!貴重な男だ!しかも美形!国一つ買える!絶対に奪われるな!」
「だが無駄だ」
誰かが僕を担ぎ上げたのを感じた。そしてその人は高くジャンプして煙の中から飛び出して近くのビルの屋上に飛び移った。
「怪我はないな」
僕を担ぎ上げたのは男の人だった。金髪のイケメンさん。めっちゃモテそう。
「はい。大丈夫です」
「男が一人でこんなところにいるはずがない。なにか訳アリのようだな…」
そして男の人は僕を抱えて、屋根伝いに走って女たちを振り切った。
そして男の人に連れてこられたのは、バーのようなお店だった。まだ開店前らしくメイドさんたちがせっせとお掃除していた。
「わたしのはジルセウ。この店のエゼクチィブマルチクリエイションプロデューサー助監督だ。君には保護者はいないのか?」
「はい!だから冒険者になろうと思ってギルド探してます!」
「…男が冒険者になる…?なにを言っているんだ君は?」
すごく不思議そうなというか可哀そうなものを見るような目で見られた。そんなに僕が冒険者になろうとするのはおかしいのか?
「男は普通家からでないか、結婚させられるか、うちのような店で働くかのどちらかだろう?」
「はい?」
何言ってんだこの人。普通異世界って言ったら冒険でしょ。違うの?
「…なんだろう。…いや…そうか…君はきっと女性からひどい目にあわされたんだね…」
「ん?まあ。はい。酷い目にはいっぱいあわされました」
「そうか…。だから冒険者になるなんておとぎ話のようなことを言っていたのか。なんて憐れな…」
なんだろう?すれ違いを感じる。
「あの。男の人って冒険しないんですか?」
「するわけないだろう。男は少ないんだ。貴重な男を冒険なんて危ない目に出すわけにはいかない」
「…でありますか…」
この世界は男が少ないらしい。てことは必然的に女が中心の社会ってことだよな。さっきも街には女の人しかいなかった。え?冒険出れない?てか女ばかり?恐怖でしかない!
「そんな!女の人だらけなんて怖すぎる!」
「その気持ちは同じ男としてよくわかるよ」
金髪の男の人は僕の背中を優しく撫でてくれた。
「君は行く当てがないんだね?ならうちで働かないか?」
「え?」
お兄さんは優し気な目で僕を勧誘してくれた。でもこれって渡りに船って奴じゃない?僕はこの世界に生活基盤がない。
「お世話になっていいですか?」
「ああ勿論だとも!安全な寮も用意する!ちゃんとお給金も出るよ!だから安心して働いてくれ!」
とんとんと話が決まった。だけど問題が一つ。
「で、ここって何の店なんですか?」
「うん?ホストクラブだけど?」
「…はぁ?ホストクラブ…?」
ここはブラジルでもなければ異世界でもなく歌舞伎町だった?ボクの異世界生活はホストクラブへの就職から決まったのである。
キャラ紹介
柊令弥 ひいらぎれいや
母親がブラジル人で様々な人種のいいところだけを取って生まれたような美貌を持つ少年。黒髪に、琥珀色の瞳。瞳は光の加減で緑や金色や茶色など様々な色に見える。
勉強は出来るがアホ。チートスキル【オラオラ営業】を手に入れたが、まだ使い方はわからない。
その美貌は男女問わず相手の心を揺らして動揺させる魅力がある。
ジルセウ(源氏名)
ホストクラブ「ヒウ・ヂ・デセンブロ」のエゼクチィブマルチクリエイションプロデューサー助監督。億プレイヤー。女には冷たいが、男には優しい。
維守恵理琉 いもりえりる
学園四大美少女。異世界でも通用する美少女。れいやの幼馴染だが過去に悲しい出来事がありすれ違っている。
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