優美なひとときに添えられた薔薇

第96話

真守が迎えに来てくれたあの日、帰ってからちゃんと話をした。


当たり前だけど、水夢との関係はきっぱりと断つことにした。


となると、うどん屋さんのアルバイトは辞めないといけないのかな、それは嫌だな、――と思っていると、真守が、水夢から受け取った対価のお金と一緒に、再び水夢に会うと言った。



正直水夢のことはいまだに掴めていない。


親は会社の社長であるし、水夢自身地頭がいいし、なんだか変な趣味嗜好をしているし。


だから真守になにかあったらと思うと、乗り気ではなかったけれど。




「いいよ」


「え」


「それも返さなくていい。気になるなら、手切れ金ってことにしよう」


「そ、それをわたしがもらうの?」


「楽しい遊戯に敵はいらないから」


「? なるほど……?」




あっさりしすぎていた。やっぱりよくわからない。それなら最初から、わたしが断った時点で諦めていればよかったのに、その時諦めるのと今引くのでは違うなにかがあったのだろうか。


最後に、いちばんの不安事項、『真守になにもしない?』を聞けば、『しないよ。逆になにができると思う?』と聞き返された。


わたしはなにに不安を感じていたのだろう。あれはミスリードだったのかな。


とにかく真守とも、『あいつは結局なんなの?』『わたしもわかんない』と、水夢ってよくわかんないね、という話で無事?この件は解決?となった。

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