賢者の言葉

モンスターラボ

賢者の言葉


小さな頃から人々の役に立ちたいと思い、遊んだり、恋をしたりせず、一生懸命学問に取り組んだ少年がいた。その少年が老人になる頃、街の地面に大きなヒビが入った。老人は原因を探ると、人々の悪口が、そのヒビをひろげていることがわかった。


老人は必死に悪口を言わないよう訴えかけたが、老いぼれの世迷よまごととして誰も聞き入れなかった。あるものは老人に暴力を振るい、あるものは老人の家に動物の死体を置いたり嫌がらせをした。


それでも老人は諦めず「もうすぐこの街は沈むから、隣の街まで船で渡ろう」と皆に言ったが、誰一人として聞く耳を持つものはいなかった。その夜、老人は一人で悲しみながら、船で隣町に向かった。


次の日の朝、老人が住んでいた街は、地面に大きな亀裂が入り街中が海に沈んだ。老人は悲しみながらも、どこか納得した表情を浮かべていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

賢者の言葉 モンスターラボ @Monsterlab123

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ