価値があるなら

@xua_ew

第1話

小学生のころからすきだった人「彼シオン」


高校になり付き合った 「主人公ナグサ」


周りも私達も結婚すると思ってた


喧嘩もした。


別れる危機もあった。


でもそれでも彼は優しく受け止めてくれた。


この冬の朝彼は居なくなった。


この日は私の家に彼は泊まりに来ていた。


目を覚ましたら隣にいる。安心して眠ってしまった。


目を覚ました翌日


君は隣にもどこにもいなかった。


もしかしたらこの恋は最初から偶像の世界の話だと、何かしらの思い込みだと思って過ごした。


私はある噂を1ヶ月後聞いていた。


病気でずっと入院を繰り返してるという。


そんな彼に会いたくて、気づけば病院にいた。


「シオンって人どこの病室ですか?!」


びっくりされた。


看護師さんは2回の035号室だと教えてくれた。


病室に入り彼の名前を声を振り絞って出すと


彼は眉間に皺を寄せた。


「誰ですかー。」


頭を強く打たれた感覚がした。


頭が真っ白になり、呼吸が出来ない。


なんて言おう。


なんて言い返せばいいか全く分からなかった。


後ろから、何か落ちた音が聞こえた。


その人は彼のお母さんだった。


驚い表情をしていた。


多分買い物帰りだろうって咄嗟に落ちてる林檎から思った。


何もわかんなくなって、彼お母さんを押しのいて病室を飛び出した。


家に帰り、ひたすら泣いた。


夜中私のスマホがなった。


彼からだった。


息が止まった。


指が震えた。出るか迷った。


それでも期待して、電話にでた。


そしたら、彼は泣きじゃくりながら


「ごめん、ごめん、ごめん、急にいなくなってごめん。」


「今日病室来てくれたのに気づいてやれなくてごめん。」


私は気持ちを抑えきれなかった

「許したくない。」


「そうだよな、ごめん。」


「ばか、大好き。勝手に居なくならないでよ。勝手に私を守った気にならないでよ。」


「ごめん。大好き。俺はー。」


彼が言いかけた瞬間鈍い音がした。


怖かった。


理由は何となく分かる。


でもそれを受け止める勇気も、彼がもう居ない明日も耐えられない。


私は家を飛び出していた。


息が荒い。


呼吸出来てるのかがわかんない。


冷たい空気が肺を刺激する。


走っていたから喉がすごく乾いて痛かった。


病院の目の前に行くと、彼のお母さんがいた。


近寄らないでと言われるかもしれない。


それでも私は病室まで走った。


多分彼のお母さんは私に気がついてきた。


でも声はかけなかった。


声を掛けられても止まることはなかったと思う。


病室に行くと彼は、眠っていた。


手を触ると前よりも骨張っていて、冷たかった。


生きてるのか死んでいるのかが分からなかった。


彼の寝顔を見て思い出す。


一緒に寝た思い出も、あの花火の下でキスした思い出も、全て本当のこと。


大好きな彼との時間。忘れたくない。


いつの間にか彼は起きていた。


私の頬を撫でる。


「忘れたくない。」


掠れた声で、彼は言った。


「泣かないで。泣かせてごめんね。」


彼に言われて、泣いてることに気づいた。


走っていた時も泣いていたのか、涙のあとが着いていた。


本当は忘れないで欲しい。忘れてもその思い出はずっと残っている。忘れても時間は刻んでる。

思い出させる。他の誰かじゃなくて私が。


「大丈夫。忘れても。」


彼は意味が分かったみたいだった。


彼は子供のように声を上げてないていた。


この記憶は彼からいつかなくなってしまうかもしれない。


彼も私も亡くなれば、何も無くなってしまうかもしれない。


でも、その一瞬の時間だから価値がある。


これからも彼と一緒にいたい。


一緒にいれる時間は短いかもしれない。


それでも、大切にしたい。


彼の居ない明日は耐えられないかもしれない。

果ての無い暗い道を歩いてくかもしれない。


それでも私は生きていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

価値があるなら @xua_ew

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ