第7話 猛毒に揺られて ②



「おぉ、勇者よ、よくぞ戻られた。」

「そなたの目覚ましい活躍は、特に聞き及んでおる。

「我が国の女性たちも魔性が消え、村に戻りつつある。」

「世界も徐々に明るさを取り戻しているようにも思える。」


「がっ!、まだ足りぬ!」

「そなたが魔王を打ち倒し平和を取り戻すまでは・・・」

「休む事は、まかりならん!!」

「日々精進を重ね、自分に打ち勝つのだ。」

「よいな!」

「さぁ、行け勇者よ!」


今日もヒゲの国王の長々しい説教をやり過ごし、最愛の女神のもとに向かう。

巨大な女神像のはるか彼方に浮かんでいる、彼女の大事な部分は、本物を型取ったものなのであろうか。

本物もあのような形状なのであろうか。

石造りの女神の像では分からないが、本物のあそこの色は、一体何色なのであろうか。

女神の足元で見上げても、次の瞬間には必ず忘れてしまう、女神の神秘の形状をこの目の奥に

刻み込む。

今日の女神はピクリとも動かないし、脳に直接響いてくるような魅惑の美声も響いては来ない。

少し塩味のついた、元気の増してくる聖なるドリンクも、女神の神秘の部分から溢れては来ない。

残念ではあったが、こんな日もあるのであろう。


僕は手を触れられる範囲で女神の足をまさぐり、頬を寄せる。

聖剣が変態的な行いに固く変化していく。

感極まった僕は、女神の足の指を舐めながら吸っていく。

彼女の爪の垢を吸い取るように、口に含んでチューチューと吸っていった。

もう、ビンビンだった。

夢中で吸い続けたため気づかなかったが、聖堂の中には女神を敬愛する町の人々が集まっている。

皆は、その中で行われている勇者の行為に眉を潜めていた。


街の人の話では、ここから草原を進んだ所に女神の村があるそうであった。

もしかしたら女神は、その村に僕を招き入れるために、あえてその姿を隠したのかもしれない。

そう考えると合点がいった。


草原を進んでいくと、『この先女神の村』と書かれた看板が立っているが、この先には果てしないほどの沼地が広がっていた。

「ここを越えないと女神の村につけないのか?」

僕は独り言を呟きながら別のルートを探してみたが、沼の両側には岩場がそそり立ちとても登れるような代物ではなかった。


『どうせ夢だ。』

僕は沼地に向けて一歩を踏み出す。

ズブズブとめり込んでいく泥の沼は、膝まで浸かり2歩目で僕は靴を失った。

靴下も泥に絡め取られた。

泥沼はますます深くなり、腰の高さすらも越えてきた。

成長期ゆえの若干大きめなズボンは、泥に取られてボタンが弾けた。

必死で引っ張り上げながら進んだが、無い方が楽な気がしたためその場にズボンを脱ぎ捨てた。

一緒に脱げたパンツだけは泥に沈まないうちに回収した。

泥の中で素足の僕は何度も滑り、顔まで泥に浸かるほどに溺れかけていた。

学生服も泥を吸って重い。

学生服すらも脱ぎ捨て裸になると、歩を進めるごとに泥が僕の素肌を撫でるように刺激していく。

特に聖剣の周りに刺激を強く感じる。

疲れからではなく、一歩進むごとに快感に抗うように、僕の口から喘ぎ声が漏れてしまう。



沼の真ん中あたりなのだろうか、小休止できそうな小島のような草原があった。

僕は草原に、快感にのたうつように身体を投げ出した。

暖かい日差しに泥が乾いていく。

あたりを見回すと岩場から清水がチョロチョロと溢れ出ている。

僕は清水で泥を洗うべく、握りしめていたパンツをなれた手つきで洗い、そのパンツを使って体についた泥をおとしていく。

ぽかぽかとしたまさに洗濯日和だった。

そんなのんびりとした空間は、僕に眠りの中で眠りにいざなっていくようであった。

そんな僕の油断を見透かすように、裸の僕に恐ろしい魔物が迫っていた。


人の身体程もあるだろう、大サソリだった。

ハッ!と振り向いた時に、大サソリの毒の尾が僕の聖剣を貫いていた。

驚きと痛みで、僕は股間を押さえながら後方へ飛び退った。

股間が腫れ上がり、毒が勢いよく全身に回っていく、頭が朦朧としてくる。

毒による幻覚かもしれないが、黄色い大サソリが虚ろな僕の頭の中で、真実の姿を現していく。

ムッチリとした発育のよい美女だ。


僕もついに最後を迎えるのかもしれない。

ボン・キュッ・ボンのまさに僕の理想のボディラインだ。

最後の最後に、僕は極上の美女の裸体を妄想の中で拝むことが出来た。

『思い残すことはない。』

そう思ってその女性の全身を、僕の虚ろな目に映した。


「あっ!〇〇さん!」

それに気がついた瞬間に、毒で腫れ上がった聖剣が何時もより逞しく反応をしていた。

明らかに聖剣は大サソリに、女の魅力を感じ取っている。

僕も、もう目の前の生き物を、大サソリとは思えないほどに毒に侵されていた。

僕は〇〇さんの名前を叫びながら、大サソリに覆いかぶさっていった。


「キモいな!このモブは!」

「エロイ事しか考えられないのかこの猿!」

「お前のエロい目はみんなが知ってんだよ、こないだ授業中にちんこを摘まんでイキそうになってただろ。」

大サソリの猛毒の刃が、僕の急所に的確に毒を打ち込んでいく。

それにも負けず、僕はふんわりと柔らかく、どこまでも僕を引き込んでいくような〇〇さんに覆いかぶさって動きを止める。

全身が彼女に引き込まれてしまうような、極上の肌触りが僕の全身を駆け巡った。


いくら口が悪くとも、この魅力的なカラダと美しいお顔を、体育の時間にどれだけ見つめていたことだろうか。

水泳大会の写真は、自分が写っていないものも間違えたふりをして何枚も買っている。

この口の悪ささえなければ、クラス一位、いや学年一位の人気が出ることも間違いなかった。

今、僕は毒に侵されながら彼女を思っている。


確か、〇〇さんは猛毒を持つ大サソリだったはずだ。

今は、この舌鋒の毒に侵されるたびに、ゾクゾクとした快感が増す、間違いなくけなされることが気持ち良くなっている。


『だがッ!、だめだ!』

快感に抗うように、僕は彼女の名前を呼び続ける。

「〇〇さん、そんな事を言わないでくれよ。」

「君が恥ずかしがって、そんな事を言っている事を僕は知っているよ。」

「一番に成れないかもしれない自分の、逃げ場所にしているんだろ?」

「そんなことさえ言わなければ、君は誰からも愛される才能を持っているんだ。」


「この聖剣でその舌鋒を浄化すれば、君はアイドルにもなれるはずだ。」

「もっと、綺麗なウソで僕たちの心を慰めてほしい。」

僕は彼女に対する思いを、うわ言のように呟いていた。

「君にはウソでも、癒やしの言葉をかけて欲しいんだ!!」

僕は彼女の頭を掴むと、優しくゆっくりと聖剣へと導いていく。


「これが、聖剣・・・」

彼女は彼女自身が刺し貫き、大きく腫れ上がらせた聖剣から毒を吸い出すように、魅力の根源である赤い口唇を開いた。

毒が吸い出されていく。

美しい〇〇さんが僕を清めてくれる喜びと快感が入り交じる。

僕も毒に侵された虚ろな感情で、彼女の足の間に生えている大サソリの尻尾の先端を、口に含んで吸い上げていく。


『君の毒はすべて僕が引き受けるよ・・・。』

愛しい彼女の尻尾は、毒を吸い出すたびに小さくなっていく。

小さくなっていく彼女の尻尾は、足の間に隠れるように隙間に埋まっていく。

僕は彼女の最後の毒すら吸い出すつもりで、尻尾の埋まった溝を指で押し広げて舐め取っていく。

最後の毒も吸い尽くした時に、元の大きさまで毒を抜かれた聖剣が固く膨らんでいく。

彼女に吸い出された聖水が口中に広がり、彼女の鋭く尖った舌を、滑らかで柔らかいものに変えていく。

僕は、〇〇さんの髪の毛を撫でながら、彼女の口元から聖剣を引き抜いた。

間近に彼女を引き寄せて、その美しい顔を眺める。


「私、アイドルになれる?」

赤いぽってりとした口唇から白い液体が一筋流れている。

「間違いなく君はアイドルだよ。」

「僕がファン第一号だよ。」


彼女の口から流れ落ちる僕自身の体液を、口唇を合わせて舐め取っていく。

目を閉じて僕に口唇を差し出す彼女は、他の誰よりも美しいと思った。


僕に寄り添う〇〇さんの身体が白く光り、シャボンの泡の中に浮かんでいく。

眩しいほどに輝いたシャボン玉は、フッと弾けて消えていった。


初めての〇〇。

夢の中とはいえ凄い経験をしたような気がしている。

『忘れないためにも、もう少し〇〇さんのカラダのラインを見ておくべきだった。』


僕も、目が覚めていくようだ。

町の近くまで来ているというのに、またこの沼を最初から渡る必要がありそうだ。




目覚めた僕のパンツから、青臭い大人の香りが漂っている。

昨日あれだけ僕をコケにした彼女は、夢の中でもとても綺麗だった。

まだ少し、股間に毒の痺れが残っているような気がしていた。


〇〇さんのお代わりを要求するように・・・。


猛毒に揺られて 完

僕の可愛い女の子 ①に続きます。

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