第2話 サラside

蔑んでくる他の方達と違って

アベルは優しかった。


ううん、特別に私に優しかったわけではないわね。ただ他の方達に接するように、同じように接してくれていただけ。


あなたにとっては普通のことだったのに、私にとってはそれがどれだけ嬉しかったか分からないでしょうね。


ずっとずっと一人耐えてきた私にとっては、まるで自分も皆と同じになった気がしたの。本当に救われたのよ。


そう、単純にあなたに恋してしまうほどに。


あなたは色々と話してくれたわね。


あなたのことも。


そう、あなたには想い人がいることも…



その方と結婚の約束をしていることも。



私はそんな話聞きたくなかったけど、今となっては聞いていて良かったと思ってるわ。



だって、知らなかったらきっと私、あなたと離れることなんてできなかったわ。


王命が言い渡された時、あなたは愕然としたでしょうね…


でもごめんなさい。私は、


私は、天にも昇る気持ちだったの。


大好きなあなたの元へ嫁げるのだから。



でも、あなたの顔を見て目が覚めたわ。



王命を断ることなんてできないもの。


この結婚は魔力の暴走を抑える目的のため。



それはつまり白い結婚は許されないこと。



あんなに優しかったあなたが、私を避けるようになったものね。


どれだけ葛藤したか痛いほど分かるわ。


もしかして想いを寄せる方と駆け落ちでも考えたのかしら。



あなたを見張っているような方を目にしたわ。

気のせいと片付けるには不自然な方を。



でも安心して。


あなたは王命をきちんと果たしたわ。


結婚したもの。


ただその後、私が勝手にこうすることを選んだの。



きっと皆私がいなくなってほっとしたわね。



厄介な問題が片付くのだもの。


国は子供がもし同じ能力を持っていたらという不安もあったでしょう。


私を処刑したりしないこの国には感謝しているわ。


アベル、

私にとってあなたは心の救いでした。

短い人生の中で、心から信頼できる方でした。

とてもお慕いしておりました。


愛してました。


あなたの部屋で死ぬなんて、

嫌な意味で忘れられなくなることをしてごめんなさい。


でも、少しでもあなたの中に留めて置いてほしくて。


身勝手な私を許してください。















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