白い部屋

青袖てゃん*🐬

見えない背中

「なんやここは…?」

中年男性は目覚める。

彼は周りを見渡し、見覚えのない部屋にいることを理解した。

その部屋は全面が白く、天井にスピーカーがついているだけのなにもない部屋だ

窓も出入り口もなく、どうやって入ったのかすらわからない

「なんでワイはこんなとこにおるんや…」

疑問をこぼしたところでスピーカーから機械音声が流れた

「おはよう、私がアナタをここに閉じ込めました。脱出方法はあなたの背中に書いてあります。以上です今後アナウンスはありません。」

中年男性は自分が閉じ込められていることを理解する

「いうて普通の壁なら自力で壊せるやろ…」

渾身の攻撃を、壁と床に浴びせるがびくともしない。

「ワイの膂力でダメならだめやね」

あきらめながら、先の音声を思い出す

「背中に脱出方法が書いてある言うてたな、鏡があれば余裕やけどな」

名案が浮かぶ

「尿で水たまり作って反射させたらええやん!天才!」

ジョボボボ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

絞り出す。

「アカン!色味が薄すぎてほぼ反射しよらへん!」

失敗したようだ

「色味が濃い液体なんてもう血しかあらへん、反射する量だしたらあの世や…」

結果として彼は実行し、血の鏡を作り出した

朦朧とする意識の中、彼は背中を確認する

そこには一文字の漢字が描かれていた


最初からこの中年男性が「生きて」脱出することは不可能だったようだ。

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白い部屋 青袖てゃん*🐬 @aosode

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