なつふゆ

沼津平成

第1話

「ここはどこなんだ?」

「さあ、わからない」

「って、俺は独り言でつぶやいただけなのに……声が返ってきたぞ?」

「おかしいな……」

「なんかお前、この世界について知ってるか?」


 二人の少年がこうして話をしていた。眼鏡の背の高いやつが、自己紹介をしようと立ち上がる。声にエコーがかかっていることに、みんな気づいた。


「僕は、二木竜造ふたきりゅうぞう……」

 中学一年生の少年だった。

「俺はけうだよ」

 もう一人が答えた。

「けう?」

 竜造が首を傾げる。

「ああっ、仕方ないなぁ……けう、こうやって書くんだ」

 そして、けうはおい、紙と呼びつけた。けうのテストがやってきた。

「えっ、すごい……どんな能力なの……」

 竜造は目をしばたかせた。

「ん? あぁ、俺もよく知らね」

「なんだよ」

 二人とも腹がよじれた。こうして二人は知り合いになった。

「ちょっと待っとけ」

 おい、ペンと呼びつけるとセンセの赤ペンがやってきた。

「0を一つ付け足してっと」

 そして10の後ろに円を一つ書く。

「ちゃんと、しねぇと。3.141云々」

 結局そこまでだった。

「100、と。おら、これが俺の名前さ……」


 そしてテストの名前を見せる。汚い字で狭山希有さやまけうと書いてあった。「妹の紗夜もいるんだが」

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なつふゆ 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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