隠密魔王 〜勇者に倒された魔王、転生後も魔王だったので勇者には隠密に生きることにしました〜

神薙アリス

第1話 魔王、倒される

「フハハハ!この程度か、勇者共よ!」


魔王アドラリアは高らかに笑う。

現在、自分に挑んだ勇者一行を返り討ちにしたからだ。


アドラリアは世界を征服する魔王。

これまでに幾度となく、アドラリアを倒そうと彼に立ち向かう冒険者がいたが、全く歯が立たなかった。


「クソッ!このままじゃ全滅だ!皆、力を貸してくれ!」

「おう!」

「やるしかありませんね…」

「仕方ないわね」


勇者ダイヤ、戦士スペード、僧侶クローバー、魔法使いハートは声を合わせ、とある魔法を発動する。


「なにをするつもりだ?……ッ!?」

その瞬間、アドラリアの背筋に悪寒が走った。


「終わらせてやるよ、魔王アドラリア!」

「おい、待て!やめろ!」


「「「「対魔王魔法…………」」」」

「「「「サタンスレイヤー!!!!」」」」


勇者一行は、対魔王用に特化した浄化魔法を発動した。


すると、効果は予想以上のようだ。

「グァァァッ!おのれっ…この我が…人間如きにぃっ…!」


アドラリアの体は、光に包まれていくと同時にどんどん灰になっていく。


「見事だ…勇者…よ」

アドラリアは完全に灰と化し、消えていった。


「やっ…た。倒した…」

「やったな!」

「手強い相手でしたね」

「私もう魔力すっからかん…」


勇者一行は見事、魔王アドラリアの討伐に成功したのである。


「魔王は倒した。俺たちが平和な世界を取り戻したんだ!」


「おう!険しい旅だったが、お前らと冒険ができて俺も楽しかったぜ!」


「おや、旅はまだ終わっていませんよ。王都に帰るまでが旅ですからね」


「え〜?もうクタクタだよ〜!」


勇者一行は冒険の疲れを労い合いながら、王都へ帰還するのだった。

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