第2話

 まさか、泥棒たちのブッキング。

 後からやって来た泥棒が、鍵を締め、部屋の物色にはいる。

 リビングを抜け、寝室に入った瞬間、ブッキングが起こった。

 先に寝室に入っていた泥棒と後から入って来た泥棒の目が合う。

「「え!」」

 お互い、驚きの声をあげる。

 お互い、驚きのあまり、固まった。

 お互い、忍びこんだ家に人がいると言う状況に、脳の処理が追いついていない。そんな感じだった。

 お互い、これがどういう状況なのか即座に考える。

「あの、何をしてるんで?」

 先に口を開いたのは、後から入って来た泥棒だった。

「……探し物です。あなたこそなんで、この部屋に?」

「……私も、探し物です」

 お互い、勘が告げていた。この男はこの家の住人ではないと。では、誰かと言う事になる。

 お互い、顔色を窺った。

 お互い、顔が引き攣っていた。

「……」

 お互い、沈黙した。

 お互い、完全フリーズ。

「「……あ、あの」」

 お互い、声が被った。

「……さ、先にどうぞ」

 後から入って来た泥棒が口先を譲った。

「ああ、すみません。では、私から……」

 先にいた泥棒が口火を切ることになるが、押し黙ってしまう。

「どうしました?」

「いや、その」

 先にいた泥棒は口ごもる。

 口を開こうとするが、上手く言葉が出て来ない。

 後から入って来た泥棒は、先にいた泥棒の顔色を再び窺う。

 お互い、ツバを飲み込む。

「沈黙ですか?」

「いや、その、なんて言ったらいいか……」

「なんです?」

 先にいた泥棒が答えようとした時、ピンポーンと、家のインターフォンが鳴った。

 お互い、緊張が走った。

 お互い、本能では、お互いが、この家の住人ではないと告げていたが、確信はない。

 お互い、目を合わせた。

 お互い、お前が出ろと、目で語った。

「……私が出ます」

 後から入って来た泥棒が言った。

「私も行きます」

 そうして、後から入って来た泥棒は、インターフォンに出た。

「はい」

「警察です」

 お互い、その名を聞いた途端、顔を見合わせた。

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