ネコと満月

交換日記

ネコと満月

ある、満月の夜のことです。


ネコが大勢集まって、じっと月を見ていました。


月は、見られるのが大好きです。

嬉しくなった月は、まるで夜空を昼に変えてしまうように明るく輝きました。


ネコは、それをじっと見ています。


月は、充分に輝いたので、気分が良くなり、さぁそろそろ降りようか、と思いました。


そして、下を見てみると、やはりネコがじっとこちらを見ています。


困ったなぁ。月は考えました。

こんなに見られていると、降りるに降りれないぞ。


ネコは、やっぱりじっと見ています。


月は、もう少しだけ力を振り絞って輝いていたのですが、変わらず、ネコはじっとこちらを見ています。


そうこうしているうちに、山の向こうから太陽が、呼びかけてきました。

「おおい。もうすぐ夜明けだぞ。早く降りてしまえよ。」


月は驚いて降りようと考えたのですが、

やっぱり、ネコはじっと月を見ています。


あぁ、どうしよう。

月は困ってしまいました。


困っているうちに、どんどん太陽が山の向こうから登ってきます。


「おおい。まだ、そんなところにいるのか。一体何をしているんだ。」


月はすっかり、慌ててしまいましたが、

ネコは、それをじっと見ています。


そうこうしているうちに、空は明るくなってしまいました。


月は、あ、あ、あ、と思う間に、

降りられないまま、消えてしまいました。


朝が来たのです。


ネコは、やっぱり、それを、じっと、眺めていたのでした。

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