わけのわからない声
天川裕司
わけのわからない声
タイトル:わけのわからない声
友達の家に遊びに行った。
百合子「あーいらっしゃ〜い♪どうぞどうぞ」
「お邪魔しまぁす」
百合子とは高校の時から一緒で、
最近ずっと会っていなかったけど、
このまえ街中で偶然会って、
積もる話に花を咲かせ、今日遊ぶ約束をした。
ほんと久しぶりだから嬉しい。
「でさー、会社の上司ったらほんとしつこくてさ〜」
百合子「え〜、それってモラハラなんじゃないのぉ?」
「そうなのよぉ、友達もみんな嫌がっててさぁ」
談笑していた時、ふと向こうの方から声が聞こえた。
百合子「ん?どうしたの」
「…え、いや、別に。…なんか声がしない?」
百合子「え、声??」
お風呂場の方から何か声が聞こえる。
女の人の声?男の人の声?
…よくわからない声だった。
百合子「ちょっとやめてよぉ〜、アタシここに住んでんだからさぁ〜汗」
「あごめんごめんw…でもさ、何か聞こえるんだけど…」
本当に聞こえた。
そしてその声のほうに耳を傾け澄ましてみると、
「……こっ……で……ぉ……ち……おい……よぉ……でよぉ……」
と段々はっきり言葉が聞こえるようになり、
「ちょっと百合子静かに…」
ともっとさらによく聞いてみると、
「でよぉ……こっち……に……おいで……」
と1つの言葉「こっちにおいでよ」とはっきり聞こえた。
百合子「……ちょっとやだ…ほんとやめてよ」
百合子はだんだん本気で怖がり始めた。
そりゃそうだろうか。
いきなり友達がこんなこと言ったんだから。
でも、
「はっきり聞こえたんだよ!ね、ねぇ、もしかして泥棒か何か入ってない…??」
百合子「えぇ…?!」
現実的に確認する必要があると思い、
私ははっきりそう言った。
でも確かに百合子にとってはここが自分の家。
自宅を守らなきゃならないのは当然だけど
ショックが大きかったのか、
その風呂場まで確認しに行く事ができなかった。
百合子「ご、ごめん、ヤスコ、ちょっと見てきてくんない…?私怖くて…」
「わ、私だってヤだよ!…ゴク…一緒に見に行こ…」
先に警察に知らせようかと思ったが
何もなかったら電話すべきじゃないし。
そんな理性もちょくちょく働きながら、
とりあえず携帯を片手に持ち、
私たちは2人で風呂場へ行ってみた。
「お…いで…よぉ…こ……っち…へ…おいで…よぉ…」
近づくにつれ、言葉はもっとはっきり聞こえ始める。
「ね…ね?聞こえるでしょ…?」
私は小声でそう聞いてみたが、
百合子「……い、いや別に何も…」
百合子にはやっぱり聞こえないらしい。
「なんでよ?!こんなにはっきり聞こえるのに!」
とも思っていたが、
とりあえず声の正体を確認するのが先。
百合子は私の後ろに隠れながら歩き、
私の方が率先して風呂場のドアを開ける形になった。
するとそこには…
「き…きゃあぁああぁぁあ!!」
血まみれの女が倒れていた。
どうやら手首から血が流れ出ていたようだ。
そして黒髪にまみれた素顔をよく見てみると、
「……え、………ゆ、百合子…………?」
後ろをゆっくり振り返って見たら、
そこには誰も居なかった。
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=E4umLYBXbkk
わけのわからない声 天川裕司 @tenkawayuji
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