『✚』にすらなれない!~我々は未だ【異常】とされておりまして~

人外炸裂爆弾

『まともな大学』ですらない!①

 桜咲き誇る4月も初め、俺は日本武道館での入学式を先ほど終えて、晴れて大学生となった!

 まあ、滑り止めの大学ではあるが......


 だが腐っても有名大学!

 3万人を超える学生が、この都市型キャンパスで4年の時を過ごす!


 だからこそ、この大学には多種多様なサークルが群雄割拠し!

 それはそれは苛烈な新入生獲得戦争が勃発するほどであり!!

 それすなわち!!!

 間違いなく!!!!

 問題なく!!!!!

 十分すぎるほどの青春を過ごせる事は確約されているようなもので!!!!!!


 そんな大学の中で

 俺は…


 キラキラ陽キャな飲みサーに入って!

 毎日浴びるように酒飲んで!

 友達いっぱい作って!

 彼女作って!

 たまに授業さぼって一日遊んで!


 そんなキラキラ輝くような誰もが羨むキャンパスライフを送る–––––––––––––––––––––––––––––––––––––––はずだったのに


「この【サモトラケのニケ】のさ、羽織ってる布からうっすら透けてるヘソあるでしょ?僕ここ見るたびに勃――――————」


「私ね、炎が燃えているところを見ているときが一番生を実感できるの……

 でもね、今日まだ何も燃やせてなくて……!

 もう限界……!生きてる心地がしない……!

 燃やしてもいい?!君のこと燃やしても――――――――」


「お前さ、ファとファ#どっちが好きだ?

 俺は正直どっちも好きなんだが……

 股間に響くのはファ#――――――――」


 どうして……

 どうしてこうなった――――――――!


 —————————————————————


 俺の名前は松平頼敏

 今さっき入学式を終えたばかりのピカピカの大学生だ!

 まあ、本命の大学ではなく、滑り止めの大学にどうにかこうにか引っかかって今ここに立っているのだが……


 まあ?

 さっさと受験生とかいう永遠にも感じるような生き地獄から解放されたかったから浪人することは考えなかったし?

 どうせ浪人しても一つランクが上の大学に受かる確率なんて毛ほどもないし?

 無駄に時間と金を浪費するよりかはさっさと大学生になってしまったほうがマシだと考えたうえでの選択だし?

 後悔は一切ないですよ、えぇ


 むしろ、どうして引っかかったのだろうという気持ちでいっぱいだ

 この大学の対策とか一切してなかったからな……

 引っ掛かれただけ奇跡だと思ったほうがいいのかもしれない


 しかし……入学式とか、今歩いていても思うが東京ってところは本当にスケールが違うというかなんというか……

 俺がド田舎の地方出身だからってのもあると思うが、そのスケールの違いに驚かされてばっかりだ


 まず、入学式が大学のキャンパス内では行われず、日本武道館で行うってのがもう驚きだった

 なんでも東京の大学は日本武道館で入学式をするのが通例なんだそうで……

 俺の地元ではそんな入学式を別施設で行うなんて考えられないからな……

 やっぱ金もってんだな……

 しかも入学生は一万人を超えるそうで

 地方との格の違いをこれでもかと見せつけられた気分だった……


 ちなみに、今は武道館から大学のキャンパスに徒歩で移動している最中である


 だがしかし、やはり歩いていて思う


 空が狭い!!!

 いやホント狭い!


 なんか、こう、空気が汚いとか、人が多いとかそういうありきたりなことは聞いていたから驚きはしなかったが、この空の狭さには驚いた……

 俺の地元って、空広かったんだな……と少し感傷に浸ったレベルだ

 東京に住んでいる人はこの空の狭さに驚かないのだろうか……


 さて、そんなこんなしているうちに大学のキャンパスが見えてきた


 某大学の某リバティタワーに対抗して建設したとまことしやかに囁かれている、某ナソアードタワーが目の前にある

 武道館からキャンパスまでの距離は大体1kmほどだろうか、意外と近かった


 「前来た時も思ったが、立地はかなりいいんだよなこの大学……」


 千代田区のど真ん中かつ皇居も近い関係上、警察が多く治安はかなり良い

 そこだけはこの大学が誇れる点かもしれない

 それ以外の評価はまあ……

 ネットをかじっている人なら散々な評価を受けていることはご存じだろうが……

 大体は、眼鏡かけた太めの赤色と、パーマの青色がやっている学歴系YouTubeチャンネルの影響が大きいのだが……


「しっかし……ここまでくるとキャンパス内からの喧騒がかなり聞こえてくるな……」


 俗にいう、新入生獲得戦争というやつが行われている最中なんだろう

 毎年一万人が入学してくるような大学だ

 それだけサークル数も多くて、その結果騒がしくなってしまうんだろうな

 

 さあ、ここから一歩踏み出せば俺も立派な大学生

 よし!高校の同級生がみんなが血涙流して羨むような

 キャンパスライフを送るんだ!

 そう念じながら、俺はキャンパスに踏み出した――――――――――

 






















「おい見たか⁈

 あっちで自動車部がトゥクトゥクでドリフトしてたぜ!

 すげえよ無理やり慣性ドリフトかましててよ!!」


「やべえ!

 戦史研がキャンパス内でゲリラ戦始めたって!

 しかも!賞金首バウンディ対象は前学長だってよ!

 こんなチャンスまたとねえぞ!

 おらッ!一緒に前学長狩りバウンティしに行くぞッ!」


「見て!見て!登山部がカレー配ってた!

 すんごい美味しそうなキーマカレー!

 早速一口食べよンボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボb」


「見ろ!ボランティアサークルがゴミ拾いしてるぞ!」


「うわ!飲みサーの会長が泥酔のあまりチャリンコ線路に投げた!」


 俺はどうやら、入る大学を間違えたらしい

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る