ゼロの世界

白野

第1話

物静かで不器用な、一人の少女がいました。


彼女は親も、友達もおらず、ずっと一人で生きていました。


そんな中、かけがえのない存在となる友人と出会い、少しずつ、少しずつ、変わっていきました。


「貴方がいたから、私は変われたの。私の人生を変えてくれてありがとう。」


「もう、ひとりじゃない」


そうして彼女は幸せな人生を送り、一生を終えました。


めでたしめでたし




______ぱたん。


図書室に置いてあった1つの短編作品。誰かが借りた痕跡も無い程に綺麗なこの本は、あまり有名ではないのだろう。


短編作品にしたって短すぎるし、これを読むぐらいならば違う本を読んだ方が良い。




___しかし、確かに私の心には酷く響いた。


「……いいなあ」


私もこうなりたい、と。誰もいない図書室で呟いた。

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