大切なものと自分の気持ち

Veroki-Kika

第1話 

ここは,空の上。この世界で,神空伝と言われる場所。

光の神・風香の元に,新たな光のタネが二つ生まれようとしていた。

パァン!

大きなひかりが弾けて,その中から,二人の天使が生まれてきた。

「新しい光…。姉の方は美奈。妹は…そうねえ。〇〇〇と名付けましょう」

風香は二人に目を落とす。

その目は,妹の左手の甲で止まった。

「これは…確か…!」

そう叫んだ時,風香の周りが真っ暗になった。

いつの間にか,自分の抱いている天使が,一人だけ…妹のみになっている。

「この闇…まさか⁉︎」

風香が叫ぶと,周りの闇が一際濃くなった。

そこから一人の女が出てくる。

「お久しぶりね。風香さん。そちらの天使さん。もしかして,闇光の子ではないのですの?ふふふ。百億分の一の確率で生まれてくる天使さんが,生まれてきてくれるとは。是非とも,闇の姫にして,闇の世界を広げたいわ」

笑いながら言う女に,風香は対抗した。

「何を言っているの?この子は,光として生まれたのよ。闇に染めるなど,このこの負担が大きすぎる」

それに対して,闇の神・暗は大きな声をあげて笑った。

「誰が今闇に染めると?そんな負担のことは承知の上です。ですから,三百年後ほどに,そちらの子供をいただきにきますわ」

「何言っているの⁉︎そんなに経つと,この子に光の名が馴染んで,今以上に負担がかかってしまうわ!」

風香は怒りを抑えて暗に言葉を投げかける。

暗も負けじと言い返すように笑った。

「あーっはっは!光の名?そんなの,馴染まなければいいじゃないの!」

笑っている暗とは反対に,ざ風香の顔はみるみる青ざめていく。

「何をっ!まさかこの子の名前を…!」

「大正解よ風香。光の名なんて,子のこには,必要のない」

暗は不敵な笑みを浮かべて,手を一振りした。

「あぁっ!」

闇が天使を風香の手から抱き上げ暗のところまで持っていく。

「अन्हार मे पड़ि जाउ इजोत के संतान प्रकाश के नाम पर」

「ぁぁぁっ」

暗の呪文に天使はくるしむ。しばらく経った後,天使の小さな体から,小さな光が出てきた。暗はそれを両手で,パンッ!と叩き潰した。

「っ!」

風香は息を呑む。

暗は風香の手に,天使を戻した。

「いただきましたよ,風香さん。ふふ。あなたのその顔。サイッコーですわね。それでは,また三百年後に」

暗はそう言って一礼すると,雲の上から出ていった。

風香はそれを見てヘナヘナと蜘蛛の上に座り込む。

周りは晴天。先ほどの暗闇が嘘に見えるほど,気持ちの良い風が吹いている。

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