こうすりゃよくない?

柿井優嬉

とわ(六十ウン歳)①

 ありゃりゃ?

 朝、居間にあるテレビをつけて、様子がおかしいことに気づいた。寝床から起きた時点でうっすら違和感はあったけれど、それではっきりした。

 本当なら、というか、いつもは、好みと言うほどではないもののまあまあいいと思う、年齢は三十代の半ばくらいの、清潔感のある男性アナウンサーが司会を務めて立っている位置に、五、六十代であろう、メガネをかけた、インテリ度とスケベ度が最高レベルといった印象の、知らない男の人がいる。

「今日、日曜日か」

 チャンネルは合ってるし、土曜日のこの時間は旅番組をやっているのを知ってるし。それにしても、大根役者のわざとらしい台詞のような独り言を口にしてしまった。

 もー、何やってるんだろう。ほんと、おっちょこちょいで嫌になる。バカバカバカバカ、私のバーカ。

 あーあ。せめてもうちょっと早く気づけてたら、気持ちよく二度寝できたのに。だいぶ目が覚めちゃったからなー。

 だけど、いっか。それでも休めるんだから得したと思って、もう一回寝ちゃおう。


 じゃあ、おやすみなさーい。

 ZZZ……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る