第7話



 目を覚ますと、既にレイが先に起きていてソファーに畳まれた服が置いてあり、指差してきた。

 受付の女性に聞いて服を買ってきてくれたらしい。

 着替えたら朝ごはん食べるから下の食堂で待ってると、着替えのために気を遣って先に部屋を出ていった。

 そうだ、後で受付の女性に生活用品について聞けるだけ聞こう。レイにも聞きたいけどずっと質問続きで旅の前から鬱陶しいとか思われたくないし。

 畳まれた服を広げながら、わざわざ買ってきてくれたんだなと思うと頬が緩む。

 優しいというか気づいてくれて嬉しいというか。

 着替えを済ませ、下の階にある食堂へ来ると他のお客さんも朝ごはんなのか席は埋まっていた。朝から賑やかで、従業員らしき数名の女性が慌ただしく動き回っている。

 テーブル席にレイが座っているのを見つけ、駆け寄り向かい側に座る。


「朝から賑やかだなぁ」

「今日は依頼の更新日なんだ。できるだけ金がいい依頼を取りたいから、更新日はこうして朝から賑やかになる。

 普段はここまで賑やかじゃない」

「そうなんだ」

「午前中はそういう理由で、登録が午後にずらされるんだ。

 何か必要な物を買い物するか?」


 登録が午後からなら買い物したいけどお金無いし、ここは受付の女性に話を聞く時間にしたい。

 レイに生活についての質問をしたいと言うと、受付にいた女性を手招きして呼んでくれた。


「ミヤコがいくつか質問したいらしい」

「いいわよ。午前中はご覧の通り皆さんギルドに詰めかけて私達は時間空くから」

「ありがとうございます!」


 助かった。食事終わったら受付の奥にある部屋で話そうと約束をして、丁度従業員が朝ごはんを運んできてくれたので、食べることにした。

 メニューはパンとサラダとスープ。飲み物は牛乳っぽいミルク。

 サラダはレタスとトマトとキュウリ、のような野菜でドレッシングのようなものはかかってない。

 パンは触ると食パンのような、でも凄く固い。顎の力強くなりそう。

 スープはコンソメスープのような色で、香りはどことなくセロリに近い気がする。

 とりあえずスープを一口スプーンで飲んで見ると、薄味。

 これはなんのスープだろう、飲んだことないようなあるようなセロリ風味。朝だからこれはこれでいいかも。

 ただ、パンは固い。味は素材の味で美味しいんだけどなにせ固い。噛めば噛むほど味がして美味しいんだけどその前に歯が保つのか不安になる。

 サラダもレタスとかに近い。さすが似てるだけある。

 お米とかもあればいいな。


「俺は少し旅支度の用意とギルドに行ってくる。

 迎えに来るからそれまでは宿から出ないようにしてほしい」

「分かった。話が終わって時間余ったらポーション作ってる」

「もう少し旅に慣れたら自由に動けるようになると思う。それまで辛抱してくれると助かる」

「私も慣れないところ出歩くのは怖いし、大人しくしてるね」


 食事をしながらレイと今日する事を決めることにした。

 午後から冒険者ギルドでまず登録をして、その後商人ギルドで登録。

 そこでまず初級と中級のポーションを買い取ってもらうことになった。

 上級と特級ポーションは?と聞こうとしたら、口元に指を立てて口に出すなと言われてしまった。

 周りにはまだ冒険者が沢山いるし、上級と特級ポーションを出すのは良くないってことみたい。


「まずは初級と中級で様子見だ。

 実績もない中で、全部持っていくと変に注目されるからな」

「そっか……分かった」


 全部売った方が楽なのにと思うけど、何も知らない私が口出すのもね。

 全部食べ終わり、ミルクを飲んでいると急にテーブルをバンッと大きな音を立てて叩かれて思わずミルクを吹き出しそうになったけどギリギリセーフ。


「レイ!この街出るって本当なの!?」


 顔を上げると、赤毛で猫目の女性が頬を赤くして立っていた。というか胸でかっ!ウエスト細い!そして可愛い。白と黒のフリルがついたトップスにフリルのスカート、ニーハイでめちゃくちゃ可愛い。メイド服をちょっとエロくした感じ。

 これは確実にヒロインで登場するレベルの見た目をしてる。


「朝からうるさいぞトリシア」

「マスターから聞いたわ。どうして街を出るの!?」

「仕事が見つかったから」

「仕事って……!」


 びっくりしてると、赤毛の女性は睨みつけるように私を見てきた。

 もしかしてレイの彼女?可愛いからありえる。 

 いやでも娼館行くって言ってたし、旅についてこれるから特定の彼女はいないのかと勝手に思っていた。


「あなた、名前は」

「ミヤコです。レイの雇い主」

「こんな訳の分からない女の護衛って本気なの!?」

「訳の分からないって……」


 確かに素性が分からない女ではあるけれど。面と向かって言われると結構ショック。

 レイを見ると、呆れたようにため息をついてる。


「俺がどの仕事をしようがトリシアには関係ないだろう」

「関係ないって、本気で言ってるの……?」

「ああ」

「……」

「護衛は立派な仕事だし、俺もそろそろこの国を出たかった。それだけだ」


 冷静に言うレイに女性は泣きそうな表情をして顔を歪める。

 これ修羅場ってやつだ修羅場。

 なんとなく彼女ではなさそうな空気は感じ取れるんだけど、親密ではありそう。


「最近やっとレイの話を聞いてくれるようになったの。

 あと少しで、また昔みたいに」

「トリシア、何度も言ったが俺は戻るつもりはない」

「でも!」

「何度も言わせるな」


 どんどん言葉にトゲが出てくるレイに女性はそれでも食いついていくのを見て居心地が悪い。

 せめて外で話してくれないかな。


「俺も話すことはないから一度部屋に戻る。鍵は受付に渡しておく」

「あ、うん……分かった」

「レイ!」


 席を立ち、部屋へ向かうレイに女性は一度追いかけようと手を伸ばすもそのまま動かず俯き身体を震わせている。

 だから居心地悪いんだってばレイ。私を置いていかないで。

 これって私もこのまま離れてもいいかな。

 いたたまれないんだけど、動けない。


「お皿下げますねえー!」

「あ、ありがとうございます」

「あと、受付もやる事終わったようなので奥の部屋へどうぞ」


 従業員がウインクしながら受付の方を見るので私も釣られて受付を見ると受付の女性が手招きしてくれる。

 これ幸いと、席を立って小走りで受付へ。ありがとう可愛い従業員のお姉さん。

 声をかけるべきか迷ったけど、余計なトラブルに巻き込まれたくないのが本音。

 後でレイには文句言っておこう。

 俯き動かない女性を横目に席を離れ受付の奥にある部屋に案内されて、ソファーに座ると大きなため息が出てしまう。


「朝からお疲れ様」

「助かりました……」

「ふふ、トリシアが乗り込んでくるなんてね」

「ご存知なんですか?」


 紅茶をテーブルに置いてくれて、女性は微笑む。


「そうね、でもレイから話してくれると思うから気にしなくていいわよ」

「……そうですか」

「トリシアの気持ちは分からなくもないんだけどね。でも私はレイの味方だからこればっかりは仕方ないわ」


 ふぅ、と紅茶を飲む女性にこれ以上は踏み込まないでおこうと心に刻む。男女の修羅場が一番巻き込まれるの危険。

 これはどの世界でも共通なんだな。


「そうだ、まだお名前聞いてなくて」

「私はミリティアよ。よろしく」

「よろしくお願いします。

 それで、早速で申し訳ないんですけど……」


 レイには事前に異世界から来たことを話していいか聞いて、ミリティアさんは信用できるから問題ないと言われていたので異世界から来たことから説明をした。

 その上で、生活について聞いていく。

 ミリティアは異世界から来たということは「あらぁ、珍しいわ」と詳しく聞いてくることもなく、相談を聞いてくれた。

 結構言いにくいことだったけど、話せば快く説明をしてくれた。


「ミヤコのいた世界は便利なのねぇ……羨ましいわ」

「髪と身体を洗う石鹸とかありますか?」

「あるけど高級品よ。特に髪は」

「高級品……ちなみにおいくらですか」

「石鹸は銀貨三枚、髪の石鹸は銀貨五枚前後ね。

 ちなみに、無駄毛は女性用のナイフがあって細かいところまで使用できるから男性もそれを使うわ。

 あまり剛毛だと、毛に毒などついて気づかず、耐性無いものを巻き込む可能性もあるので冒険者は腕や足の毛は剃ってる人が多いわ」


 小型ナイフで無駄毛の処理って。怖すぎる。とはいえ、確かに毛に毒がついたら気づかない間にというのはありそう。これもゲームや漫画だと描写ないけど言われてみれば確かにと納得する。そういうあるあるをちゃんと知っていかないと命取りになりそう。

 そして石鹸高い。

 旅しながらスローライフとか夢見ていたけど、身の回り品でまずつまずきそう。

 漫画では描かれてないから甘く見てた。


「用を足すのは旅の途中どうするんですか?」

「専用の袋が売ってるからまとめて買っておくのがいいわ。ただ専用の袋は高いから主に大きい時だけ使って小さい時は隠れてするわねみんな。

 これもまた専用の流し水があるから終わったらそれを使って流すの」

「へぇ……専用の流し水」

「そう。どちらも消臭効果があるから安心してね。

 流し水はスライムから取れる消化の種を使うから洗浄も兼ねてるのよ。

 スライムはなんでも溶かすから魔力でその種を溶かさないように浄化して専用の流し水にするの。

 袋のほうは種がそのまま入ってるから勝手に溶けるし消臭効果もあるの。

 ただし使い捨てよ」

「便利な物があるんですね」

「専用の袋は途中寄る街にあるギルドで専用の捨て場所があるからそれはレイに教えてもらってね」

「分かりました」


 つまりおしっこはどっか草むらとかでそのままして大きい方は袋の中と。

 トイレが当たり前だった私にはかなりハードル高い……。

 街にはトイレのような物があるけど旅はそううまいことあるわけもないし仕方ないんだろうけど、そこは心が折れてしまいそうになるわ。

 まだ専用の袋や流し水あるだけ違うんだろうけど。

 男女の旅、生理現象の部分でかなり気を使うことになりそう。


「旅が初めてだと戸惑うこともあるかもしれないけど慣れれば大丈夫よ。

 他にある?」

「あっ、そうだ……そのこれはさすがにレイには聞けなくて……」

「あら、何かしら?」

「その、生理というものはありますか?

 私の世界では生理と呼んでいるんですけど、月に一度血が」

「ああ!私達は月モノと呼んでるわね。

 そうね、それはとても大事よ。特に旅する女性は」


 実は一番聴きたかったことが生理。

 漫画とかアニメだと描写されてないから実際はどうなのか分から無かったけど私にとって今はもう現実。

 生理があるのかすら分からない。


「旅する女性は教会で魔法をかかてもらって時期をずらしたりするの。

 なるべく街に滞在してる時にくるようにね。

 女性特有だから費用はそこまで高くないわ」

「へぇ……時期をずらせるんだ。なら血が出ないようにすればいいんじゃ?」

「さすがにそれは無理よ。月モノは女性にとって大事な過程でしょ?ちゃんと出さないとね」

「じゃあ、月モノの期間は?」

「専用の下着があるの。

 血を吸収する綿の植物があってね。

 効果は一日だから月モノの期間によるけど旅だと洗うのも日によるから七日分は用意したほうがいいわ」


「これは下着が売ってるお店よ」とミリティアさんは簡単な地図を紙に書いて渡してくれた。

 なんでもこの綿が一日中効果あるし消臭効果もあって洗えば血が流れ綺麗になるから繰り返し使えるらしい。

 これ私のいたところで売れば大ヒットしそう。いや間違いなく大ヒットする。


「ありがとうございます」

「レイが男性だからもしかしたら言い出しにくいかもしれないけど、月モノの期間は辛いだろうから信用できるようになったら我慢せず言ってあげて」

「……が、頑張ります」

「ええ。レイも元々は男女混合のパーティーにいたから月モノの理解はあるはずよ。

 だから安心してね」


 それは助かる。生理ってやっぱり女性特有だからなかなか言い出しにくい気持ちは前の世界でもあったから。


「他にもあればなんでも聞いて!」

「あっ、えっと……ちなみに結婚とかは」

「あら?結婚するの?」

「い、いや、いつかです!いつかしたいなって!」


 これも重要だよ、うん。

 別に恋愛に興味が無いとかではないし、好きな人ができればそりゃあ知っておきたい。私に恋人ができるかどうかという現実は考えないようにして。

 ミリティアはふふふ、と微笑んで色々教えてくれた。


「結婚は教会で誓いをするの。そこで神父が誓いの縁を結ぶ魔法をかけて、お互いの血を薬指の付け根に垂らして契約」

「お互いの血で……」

「ただ、これは一生解けないから死ぬまで一生一緒にという覚悟は持てないという人や冒険者は結婚しないわ」

「え?なぜ」

「簡単よ。前者は別れたくても別れることができなくなるし、後者はいつ死ぬか分からない。

 どちらか死んでも契約は解けないから、生きた方はずっと結婚できない」

「うわ……重い」


 思ったより重かった。神聖といえば神聖だろうけど、なんか重い。

 顔色が悪くなる私にミリティアは笑った。


「確かに重いわね!

 だから、ほとんど結婚しないの。だからこそ、教会で結婚するというのは女性にとって憧れでもあるのよ」

「まぁ、分からないような分かるような」

「ふふ、そうよね。大半はそうだけど、旅をしながら物語を本に書いて売ってる人がいるから読んでみるといいわ。

 愛についての物語が沢山あって、それを読んで結婚に憧れる人もまた多いの」


 物語の本、というのは小説だろうか。さすが地球に近い星。

 娯楽とかも似たようなのがあるみたいだ。


「だから、結婚という誓いはしないけど夫婦として子どもを持つのは当たり前なの」

「なるほど……そうか、身分は自分の血を登録するから」

「そう。だから産まれたら必ず血の登録をしにいくし、登録したらちゃんと税に反映されるのよ」


 結婚という制度はあるけど、結婚とまでいかず世帯を持つってことか。

 事実婚のようなもかな。


「血の契約をしたら何かあるんですか」

「そうねぇ……その人の子どもしか身篭れなくなるし他の人と交わったら呪いがかかるくらいかしら?」

「こわっ」

「だから血筋を重く見る貴族は子どもの頃から婚約者と契約だけ先にする風習がある国もあるわね。そうすれば必ず子どもはその貴族の血を受け継ぐから」


 それが当たり前だから笑って言ってるけどめちぇくちゃ怖いから。

 つまり浮気は絶対許さない契約ってことね。

 いいのか悪いののか、でもその代償が呪いっていうのはかなり効果あるだろうなとは思ってしまった。

 そりゃ誓いの契約しないよね。何があるかわからないんだから。


「これは聞いていいのか分からないけど、その……魔物と人間は恋人になったりするんですか?」

「そうね、魔物といっても色んな種族がいるからなんとも言えないけどないとは言わない。ただ、隠してる人が多いわ」

「なぜ?」

「魔物は倒すべきと思っているからよ。

 それは魔物側からしても同じだし、交わることはない。ただ、魔力が高ければ魔物と意思疎通もできるし、個体差があるから穏やかな魔物もいるし、人型になれる魔物もいる。

 惹かれ合う者達がいてもおかしいとは思わない」


 敵との恋、これもまたベタというかなんというか。


「じゃあなぜ隠すのか。倒すべき相手と言ったけど、言葉通りで魔物を全て悪と思ってる人は多いの。

 だから差別もあって、堂々と恋人であることを言う人はいない」

「差別ですか……」

「さらに子どもは悲惨な日々を送る可能性がある。

 魔物と人間のハーフだから見た目が魔物か人間かで変わり、比較的魔力も高いことから恐れられるの。だから子どもも必死で隠す」

「でもさっき血の登録を」

「そう。だから登録をせず、魔物と恋人の人間達は常に旅をしている。定住が難しいからね。

 商人冒険者ギルドはどちらか片方さえ登録すれば仕事はできるから必然と旅になるの。

 必要物資は人間が街によって、魔物と子どもは外で待ってるのよ」


 地球にも差別はあるけど、これまたどこにも差別というのはあるんだ。

 悲しいな、好きになった人が魔物だったという話なのに、差別され定住できないなんて。


「本当は差別したくない、そう思ってる人もいるのよ。

 ただ、みんな自分の生活が大事だし魔物に襲われたり家族が殺されたりする人もいるから凄く難しい問題なの」

「そうなんですね……」


 ティーカップに注がれた紅茶を一口飲んでミリティアさんは目を細める。

 ミリティアさんは魔物と恋人に対して悪とは思ってないけど、現実問題難しいということを分かっているように見えた。

 話しにくいだろうに、私にここまで教えてくれたミリティアさんには感謝だ。


「ありがとうございます。こういうのも知っていくべきと思っているので聞けて良かった」

「ふふ、そう?良かった。

 ところで、ミヤコって可愛らしい顔してるわよね」

「えっ……いやそりゃ童顔とは言われますけど可愛いわけじゃ」

「気をつけなさい。ミヤコのように可愛い女性は狙われやすいから」

「え」


 ミリティアさんの少し小悪魔のような悪戯な笑みに背中がヒヤリとする。


「夜は気をつけなさいね。ちゃんとレイにくっついていてね」

「……えっと」

「もし恋人ができそうならレイに紹介して見てもらうのがいいわ。

 元冒険者だから野生の勘ってやつが役に立つのよ」

「わかりました……」


 まず恋人の前に好きになる人なんだけどね。そりゃミリティアさんほどの美しさなら色んな人が寄ってきそうだけど私じゃねぇ……。

 質問責めをしていたら時間も経って紅茶もすっかり冷たくなった。


「大体大丈夫かしら?」

「そうですね……後はレイに旅しながら聞きます」

「そうね、それがいいわ。二人旅だもの、会話は大事だから」

「ミリティアさんはレイのこと味方って仰っていましたけど……あれは」

「レイはね、幼なじみなの」

「えっ、そうなんですか!?」

「そうよ、こーんな小さい頃から知ってるの」


 手でソファーの脚くらいに合わせて笑うミリティアさんに、さすがに小さいんじゃ?ってツッコミをしたほうがいいかな。

 それにしてもこんな綺麗な女性と綺麗な男性が小さい頃からの幼なじみって漫画みたい。

 ミリティアさんは紅茶を一口飲んでカップを置くと目を伏せる。


「レイもそろそろ自分の人生を進むべきだし、自分から護衛すると名乗り出たと聞いて安心したわ」

「幼なじみが国を出るって寂しくないですか?」

「寂しいけど、レイが自分のために生きるほうが大切だから。

 私達の寂しさでレイを縛るのはおかしいもの」


 この人達に何があったのか分からないし、さっきのトリシアという女性含め、レイには色んなことがあって今があるんだろう。

 それは私も同じだし、人生生きてれば色々あるし。

 私ができることは、雇い主としてしっかりすることくらい。

 チート能力があるからとなんとかなる精神じゃなく、ちゃんとこの世界の常識とかも知っていかないと。

 始まったばかりの異世界での生活。なるべく精神的負担がかからないゆっくりまったりな毎日を過ごしたい。


「頑張って稼がないと」

「ふふ、頑張ってね」

「今日はありがとうございました!」


 この世界でも時計はあって、同じ二十四時間、数え方も同じで部屋に置いてある掛け時計を見るとお昼前。

 結局時間いっぱい使ってしまった。

 ポーションが売れたら何かミリティアさんにプレゼント買わないと。

 お昼から忙しくなるから、とミリティアさんは仕事に戻り私も部屋に戻ることにした。



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ご都合主義の世界でまったり旅〜ポーション作成チートあるのに脇役なんだけど!?〜 @nenenennn

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