では、行こう

「どういうことだ、俺が無事かって!? 無事なわけないだろ! さっきまであの男に殺されかけてたんだぞ! で、君はどこからともなく現れて、あいつを蹴り倒して、首を切り落とした! 何が起きてるのか説明してくれないか!」


その謎の男はため息をつき、軽く笑みを浮かべて答えた。


「まあ、若者よ、俺の名前はヴェローネ。俺は超常現象を狩るハンターだ。モンスター、シリアルキラー、幽霊、悪魔…何であろうと関係ない、全て俺が仕留める。俺たちは秘密組織の一員だが、今は時間がないんだ。行かなくちゃならない。」


「待てよ! ここに俺を置いていくのか? 俺も一緒に行きたい! 俺だってそういうやつらを倒したいんだ!」


ヴェローネは短く笑った。「ハハハ、ガキ、お前を連れていくわけにはいかない。まず、俺がやってることは危険すぎる。そいつらは常に俺を殺そうとしてくるし、仲間の多くがもう死んでいる。それに俺は世界中を飛び回ってモンスターを狩ってるんだ。日本に長く留まることはできない。お前には家族も学校もあるだろう…だからダメだ。」


ヴェローネが説明していると、バンが現れた。数人の男たちが降りてきて、周囲を片付け始め、暗殺者の死体を運び出していた。それでも少年は諦めずに言った。


「それでもヴェローネさん、俺を連れて行ってくれ! 俺には…家族がいないんだ。数年前まで孤児院で暮らしてたんだよ。両親が誰なのかも知らない。今は一人で生きてる。人生に意味なんてないんだ…頼む、連れて行ってくれ。しかも、今年で学校も卒業だし、成績も良いから間違いなく卒業できる。」


ヴェローネは少年を真剣な目で見つめた。「坊主、それでも危険だぞ。本当にそれでいいのか?」


「はい! 絶対に! 俺を連れて行ってくれ!」


ヴェローネはため息をつき、ついに折れた。「分かった、分かったよ。連れて行くさ。ただし、書類手続きが必要になるがな。」


彼が話していると、バンにいた男が静かにヴェローネに近づき、両手を口元に当て、耳元で何かを囁いた。ヴェローネは軽く頷いてから言った。


「さて、坊主、イタリアの本部に戻って手続きをする前に、まずは俺のパートナーを助けに行かないとならない。次の目的地はポーランドだ。さあ、行くぞ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る