掌の詩曲集

橘 詩音

第1話 バカンスのおわり



 ふてぶてしい

 飼い慣らされた者よ

 その濁った目には

 充血した いのち

 自由がない



 物事の確信を

 隠すことに慣れた者よ

 その狂った耳には

 情熱が届かずに

 不旋律だけが流れている



 悪魔の調べは

 精神の片隅に置き去り

 堕天使が笑う

 笑っている



 黄昏の空虚に星が降る

 満月の時

 瞬きを忘れて

 遥かな世界を感じている

 

 





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