第18話 『猫のいる家』
久しぶりにあった友人が猫を飼い始めたというので、訪問することにした。
部屋に案内されると、扉の向こうからやけに大きな音が聞こえてくる。
何かを叩きつける音のようだった。
「うちの猫が向こうにいるんだよ」
「へぇ」
猫にしては大きい音だと思ったが、飼ったこともないのでこんなもんなんかなと思いながら友人が扉を開けるのを待つ、が友人は動かない。
どうしたのかと目を向けると「まだ。音が止むまでは開けちゃ駄目なんだよね」
音がやむと友人は「いいみたい」と通してくれた。
しかし猫の姿も、その痕跡すらもない。
「猫は?ってか、さっきの音は…」
そう言うと友人は
「変わる音なんだけど…」
見回しながら「あ、ごめん、猫じゃないみたい、今は」
「今は5歳位の子供だね。痛いとかやめてとか聞こえたでしょ?
明日は10歳位の子が何で何でって繰り返し言うんだ。
その次は15歳位、かなぁ。ごめんなさいってずっと…」
何で最初は猫なんだろうね、と友人は笑った。
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