第4話『泳ぐ本』

夜寝ようと思ったら、いきなり電話がかかってきた。

見ると、いつも遊んでいる友だちからだった。


「どうしたんだよ?」


電話口の友達はひどく焦っていて声が震え上がっていた。


「お、お、お、俺み見たんだよ」


「見たって何を」


すると友達は奇妙なことを言い始めた。


「いま、川にいるんだけどよ。川にあの本が流れてるんだよ」


は?何を言ってるんだお前は。こっちは寝るとこなんだぞと言いたくなったが、相手は至って真面目な声色だった。


「お前にやったあの本が…」


「あの本ってなんだよ?」


「妹がこっくりさんで呪われたからそれをなんとかする方法を一緒に調べて、それでやっとあの本を見つけたんだろ!」


「は?俺にもお前にも妹なんていないだろ」


「『狐の泳ぎ方』を!!」


「その時はバカバカしくなって電話を切ったんですけど、また数日後に電話がかかってきました。一言だけ、『あってた』って。それっきりあいつと連絡が取れません」

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