第2話『最初の指差し確認』

これは、俺の親父が若い頃にしていたバイトの話だ。

昔の親父は結構金遣いが荒い方だったから、金を稼ぐためによく単発のアルバイトをしていたらしい。

で、これはある単発バイトをしていたときに起こったことだ。


仕事を紹介した人によると、仕事内容はただ指示されたものを指差しするだけだったそうだ。


「それだけ?」

「それでいい。決まった時間に決まった場所を指差しするだけ、それで15万」


親父は二つ返事でやることに決めた。

こんな楽な仕事はない。


後日メールが来て、仕事の場所と業務内容が書かれていた。


「紙に書いてある木箱を順番に指差しお願いします」


当日、メールで指定されたビルを入ってその部屋があり、鍵がかかっておらずドアが開いた。

そこは木箱がたくさん置かれた部屋で、カーテンがひかれ中は薄暗かった。


「順番に…」


親父は順番を確認しようと部屋に入り木箱を一目見て、逃げ出した。


「え?なんでさ」

不思議そうな自分を見て、親父は口を引きつらせながら笑う。


「木箱に遺影が貼ってあったんだよ、俺の親族が死んだ順にな」

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