元気玉怪談

@Minoru_oni

第1話『好みのラッピング』

「多分これであってるんじゃないかな」


引き出しの中からリボンを雑多に引き出して彼に提示する。


「…」


怪訝そうな彼の顔を無視して包装紙も選ぶ。

きっとこれでいい

合っているはず


「いや、かぁなっきさんはこんなものでは納得しないよ」

彼はやや怒り顔をしながら言った。

「かぁなっきさんは気難しい人だから、もっともっといいものを使わないといけないよ」


そうか・・・私は検討を加速させていく


さらに引き出しをひっかきまわして他のリボンを探す

他の包装紙を出しては広げて見せる

…彼はどれにも首を縦に振らない


「包まれる側なんだからさ、良いのじゃないとさ、駄目でしょ」

笑顔で彼は言う。


後日、かぁなっきの家のインターホンが鳴る。

「はぁーい」


ドアを開けると、立てたままではドアをくぐらせられないかもしれない大きな箱が、豪奢なリボンに結ばれて置かれてあった。


よく見るとリボンには、


「好きでしょ?」と書かれていた。

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