とある国の

第二話 変わる人物

　ふと、過去のことを思い出した。私の隣にいた何者かが、道路の手前に立っていた。その人物は何度も何度も、右左を確認していた。私は何をしているのかと思い、話しかけようとした。しかし彼は歩みを進めてしまった。

　私は進むのが怖くなった。なぜならその彼は、目の前で車にはねられ、息を消したためである。それ以来、前に進むことは何かを失うことだと感じてしまった。植え付けられてしまったんだ。

　とある人物は一枚の新聞を読み、自分が変わらなければならないと決意した。紙面に書かれた奴隷制度に対して、策を講じなければならないと感じたためであるが、彼自身も変化するきっかけを探していたということもあってのことであろう。

　「私は王になる。そのための策を講じねばならない。」と彼が口に出すほどに、彼の決意は固く、揺るがない。まるで、深く深く張り巡らされた根のように。

　彼はあまり言葉を発するような人物ではないために、彼の言葉はそれほどまでの期待を表していた。彼が住む一番南側の島は、地図で見ると細長いフックのような見た目をしている。この島では、主に文化人が住んでいる島であり、現在では文化の起点となる島である。

　とある人物は王になるための策を講じます。

　一つは、王への忠誠をもって国を変化させること。

　一つは、文化をもって国を変化させること。

　一つは、争いをもって国を変化させること。

　自分に関する知識が乏しい彼は、忠誠心や闘争心といった心について、あまり理解できなかった。そのため、この国を象徴する文化をもって国を変化させる策を主軸に行動することに決めた。

　前に進むことは、何かを失うことである。しかし、同時に何かを得ることもできる。彼はこの先の旅によって、これらの考え方を変化させることができるだろう。

　このお話は、とあるの国のとある人物が文化とともに成長し、国を変えるまでの旅。彼を中心に展開する物語である。