魔法少女は狂い出す

チョコミント

第1話

電車の中一人の少女に特殊部隊から銃口が向けられる。その少女は魔法少女で指名手配されていた。しかし、こんな状況でも彼女は微かに笑みを浮かべている。その笑みは何に向けた笑みなのか。それは彼女以外知る由もないだろう。



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10年前、渋谷区は人型の謎の生命体の襲撃を受け、若者を中心に多数の死者、負傷者を出した。自衛隊は出現の報を受け直ちに戦闘を始めたが、皮膚が強固で小型の銃では太刀打ちできなかった。その上、力も強力で住宅等を破壊しながら進んでいった。当時の最新鋭の戦車やミサイルを使い、人型達の殲滅に成功したが、その傷は深く刻まれた。

科学者達は生命体の皮膚を研究し、それが未知の物質であることを発表。彼らは未知のことが多い為、生命体を正体不明アンノウンと呼んだ。その7日後にはその物質を溶かせる物質を発見。それを用いて兵器を作ることで2ヶ月後の襲撃では被害が僅かだった。

そして現在、対アンノウン専用の特殊部隊が編成され、彼らの不断の努力により生命体出現による被害も相当少ないものとなっていた。

しかし、その裏ではある噂が流れていた。それは『魔法少女』である。とある2chのスレの『本当に魔法少女がいた』という書き込みから始まったこの噂は初期こそ嘘だと一蹴されていたが同様の情報がどんどんと出てきた。目撃情報によるとアンノウンの討伐に特化していて人間に対し危害を与える様子はないということらしい。

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そして現在、ある女子高校生が魔法少女として人知れず戦っている。

彼女の名は相川美奈で年は16歳。

普段は目立った取り柄のない普通の女の子だが、魔法少女としての適性が高くこれまでに数多くのアンノウンを撃退してきた。

「疲れた〜〜。」

「お疲れ、ミナ。今回は大したことなかったな。」

「あのねぇ。戦っているこっちの身としては常に命懸けなの。そこんとこ注意してね。」

美奈が話しているのはクマの人形についた生命体である。半年ほど前、美奈がアンノウンの攻撃で殺される寸前で突然喋り出し、魔法少女として戦う為のステッキをくれた。

「って、もうすぐ学校始まるじゃん!」

変身を解き、学校に向かう。


「ギリギリセーフ!!」

「あのなあ、もう少し余裕を持って学校来い。」

「は〜い。」

先生に軽い文句を言われるが美奈は全く気にしない。

席に着くと隣の友達から

「ねえ。なんで遅れそうになったの?」

と聞かれると

「寝坊しちゃって。」

と誤魔化した。

実は魔法少女とバレると二度と変身できなくなってしまう。そのためバレないように気を使っている。

「そんなことより美奈。このピンクの魔法少女知ってる?凄い強いんだよ。」

「知ってる。TikTokでバズってるよね。」

(それ、実は私なんだよね。)

と美奈は心の中で自慢していた。

その日の午後、美奈のもとに一通のLINEが届いた。


午後7時○○○バーに集まってください。新しい魔法少女が生まれました。

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