第44話「礼司さま、受け止めてください!」

二階堂家の厨房の入り口から程近くに、その区画はある。

季節の花が彩られたお洒落なティーカップとお皿が並ぶ食器棚。

腰のあたりの高さで作業台になっていて、その下は奥行きのある引き出しが連なっている。

ティーポットもいくつかあるんだけれど、今出してあるのは透明な耐熱ガラスに水鳥の意匠が入ったものだ。


引き出しの中には、執事の千場須さんが世界各地から仕入れた茶葉の数々が、缶に入って並べられている。

そこからその時々に茶葉の缶を取り出して使うんだけど、この缶の並びにも意味があるんだって最近はわかるようになってきた。


「・・・」


礼司さまはとても集中しているようで、後に立つ私に気付いていないかのよう。

ひとつひとつ茶葉の香りをテイスティングしていく、その表情は真剣そのもの。

和洋違えど、さすが茶道の家元の顔って感じだ・・・今はそこから家出してきている状態なわけだけど。


「・・・うん」


どうやら茶葉が決まったらしく、礼司さまは手際よく紅茶を淹れていく。

その動きには無駄がなく、今後のお手本として参考にしたいくらい。


「ごめん、だいぶ待たせてしまっているね」

「いえ、私が我儘を言ってしまったので・・・礼司さまはお客様なのに」

「気にしなくていいよ、出来る事があるというのも有難くてね・・・」


そう言いながら礼司さまがお湯を注いでいく・・・透明なポットの中を茶葉が踊るように循環した。

茶葉を見つめる礼司さまの目は優しげで、それはまるで子供を見る親のような・・・


「やっぱりこうしていると心が落ち着く・・・」

「礼司さまは本当に紅茶がお好きなんですね」

「・・・」


黙ってしまった。

あ・・・お父さんや実家の事を思い出させてしまったのかも知れない。

私ってばつい余計な事を・・・綾乃様の好感度を上げるという目的も果たさないといけないというのに。


「礼司さま、今は家の事なんて忘れてて良いんですからね?綾乃様だって・・・」

「うんそうだね、僕は紅茶が好きなんだと思う・・・家の事とかは関係なく」

「そうですよ!って、あれ・・・」


なんか話が嚙み合ってない気がするけど、礼司さまが晴れやかな顔をしていたので・・・たぶん大丈夫だろう。


「さぁ、飲み頃を逃してはいけない、早く紅茶を運ぼう」

「あ、それは私にお任せください」


紅茶を運ぼうとする礼司さまからひったくるようにして紅茶を運ぶ。

・・・さすがにそれくらいはやらないとメイドとして立つ瀬がない。


「普段紅茶を淹れるのは三本木さんの仕事なのかな?」

「はい、以前は千場須さんが淹れてくれてたんですが、ここ最近は私が多いです」


それも礼司さまに教わったおかげでなんとか形になっているというか・・・

千場須さんからしたら、まだ一人前とは思ってくれてないんじゃないかな。

でも、この流れでそんな事を聞いてくるって・・・


「・・・ひょっとして礼司さま、使用人の仕事に興味が?」

「そうだね・・・あれだけの茶葉を好きに扱えるなら、悪くないかもしれない」

「ちょっ・・・」


そう言いながら礼司さまは、まんざらでもない顔をしていた。

執事姿で綾乃様に仕える礼司さまかぁ・・・うん、悪くない。

悪くないんだけど・・・そうなったら私の仕事が・・・掃除か何か残ってると良いな・・・


「お待たせ致しました」

「あら、そんなに慌てなくても良かったのに」

「・・・良かったのに」


勢いよく紅茶を運び入れた私に、綾乃様が少し残念そうな顔をしたような・・・気のせいかな。

左子のジト目は・・・まぁいつもの事か。

別にそんな慌ててもいないし、ちょうど飲み頃の紅茶ですよ、どうぞ召し上がれ。


「良い香りね・・・私の好みに合わせてくださったのかしら?」

「置いてある茶葉から、なんとなくだけど・・・気に入ってくれてよかったよ」


おお、さすが礼司さま。

そんな事まで考えて紅茶を淹れてたのか。


「これは本当に私の仕事がなくなるかも・・・」

「右子?」

「あ、実はさっき礼司さまがこの屋敷の使用人になりたいって話をですね・・・」

「三本木さん?!」

「まぁ・・・そんな事を?」

「二階堂さん・・・その話は、その、半分冗談みたいなものなので、あまり本気には・・・」

「そう?私は良いと思うわ、ねぇ千場須・・・あら?」


さっきまで部屋に控えてたはずの千場須さんがいない。

元々気配を感じさせない人だけど、いつの間にいなくなったんだろう・・・


「失礼致します、お客様が参られました」


そう思った矢先に帰ってきた・・・お客様?・・・誰だろう?


「事前には何も伺っていないのだけど・・・どなたかしら?」

「斎京流也様が、礼司様にお会いしたいと・・・」


ああ、流也さまか・・・確かにアポなしで来る人だ、それに礼司さまと仲が良いんだったね。

きっと心配して会いに来たんだろう。



「意外と元気そうだな、心配した時間を返してほしいくらいだ」

「心配してくれるのは良いけれど、少しは家主の迷惑も考えてくれよ」

「そんなに迷惑はかけん、二階堂、少しこいつを借りて行くぞ」

「礼司さまは当家のお客様ですので・・・そんな物のように貸し借りは出来ません」


相変わらずの俺様ぶりを発揮して礼司さまを連れ去ろうとする流也さまだけど、さすがに綾乃様も黙っていなかった。

きっと流也さまも悪いようにはしないとは思うんだけど、ちょっと強引過ぎるというか・・・


「ないとは思いますが、もし礼司さまをご実家に連れ戻されでもしたら困りますので・・・」

「この俺を馬鹿にするなよ二階堂、間違っても友人を売るような事をしてたまるか」

「まぁまぁ2人とも、ここは落ち着いて・・・ほら、礼司さまの入れた紅茶がありますよ」


険悪な雰囲気になった2人をなんとかなだめて、流也さまも紅茶の席へ。

こんな所で流也さまの好感度を下げるわけにもいかない。

そもそも敵対する理由なんてないんだから、仲良くしないと・・・


「それで、流也さまは礼司さまをどちらに連れていくつもりだったんですか?」

「東小鳥遊国立公園だ」


おや、流也さまにしてはおとなしい・・・もっと海外とかゴージャスな所に連れて行くのかと思ったよ。


東小鳥遊国立公園は郊外にある大きな公園だ。

ちょっとした山があって、小川も流れていて、自然と触れ合える公園地区として国が保護している土地だ。

大きな池では釣りを楽しむ地元民の姿もよく見られる・・・っていうのが前世の私の持つ知識だけど、この世界では何かあったりするんだろうか。

・・・なんて思っていたんだけど、礼司さまには心当たりがあったようで、流也さまの言葉にすぐ反応を示した。


「・・・僕達が出会った場所か」

「ふ・・・覚えていたか」


礼司さまのその返答に、流也さまはにやりと笑顔を浮かべた。

なるほど、そういう場所か・・・悩んだ時とかに原点に戻る的なやつだね。

ゲーム本編ではほんの一瞬、さわり程度しか語られなかった2人の思い出の場所か・・・ちょっと見てみたいかも。


「綾乃様・・・そういう事なら2人を行かせてあげても良いのでは」

「そうね・・・流也さま、お邪魔でなければ私達も同行して良いかしら?」

「構わないが、これと言って面白い物のない所だぞ?」

「流也さまと礼司さまの思い出の場所、というだけでも興味があります・・・ね、右子」

「はい」


なぜか同意を求められたけど、是非もない。

私も気になるし、そういう場所で思い出を共有する系のイベントは綾乃様にとって重要なものに違いない。

断られたら尾行してでもついて行きたいくらいだ。



「せっかくなので、どんな出会い方をしたのか聞かせてください」


流也さまのリムジンに乗って移動中。

これから向かう場所の予備知識として、2人に思い出話をしてもらう事にした。

ある程度のいきさつはゲームで知っているんだけど、綾乃様にも聞いてもらいたいしね。


「そうだな・・・あの日、東小鳥遊国立公園では斎京主催のイベントが行われていた」

「イベント?国立公園で?」

「なぜかは知らないが、当時の斎京グループはやたらとイベント興行に力を入れていてな・・・その一つが国立公園を丸ごと使った宝探しゲームだ、マスコミ各社協賛でそれなりに話題になっていたはずだが」

「へー、そうなんだ」


時系列的には、たぶん私達双子が綾乃様の屋敷に来たあたりだろう。

外の情報とか全く入ってこなかった頃だから、知らないのは仕方ない。


「当然俺も参加したんだが・・・周囲の大人達が露骨に気を遣ってくるのが煩わしくてな」

「ああ・・・ひょっとして正解とか教えてきたり?」


そりゃあ主催企業の御曹司ともなれば周りも気を遣うよね。

でも謎解きゲームで正解を教えるようなのはダメだよ、あれこれ考える所が楽しみだっていうのに。

まだ子供だから難しいと思ったのかも知れないけど、流也さまだからなぁ・・・色々と想像はつくね。


「まぁそんな所だ・・・だから俺はやつらの隙を見て逃げ出した、あの時は随分な騒ぎになっていたらしい」

「あれはゲームの謎解きより大変だった、ってスタッフの間で言われてたらしいよ」

「ふん、知った事か・・・子供一人見つけられない無能共が」

「ははっ、流也は手厳しいな・・・ちょうどその時僕も茶会から逃げ出してね・・・ほら、あそこに見える建物だよ」


そう言って礼司さまが指さした先には、塀に囲まれた古い木造の家屋が見えた。

見た感じでは普通の家というか、そんなに高級感はないけど・・・言われてみれば趣を感じる佇まい・・・かも。


「へぇ・・・あんな所で四十院流の茶会をやってるんだ」

「もっと格式ばった場所でやることが多いんだけどね、あそこは母方の血縁の家だそうで・・・おかげで簡単に抜け出せたんだ」


そう言っている間にリムジンは進み、国立公園の入り口から少し外れた駐車場へ。

たしかに、あの家から逃げ出した先としてこの公園は手頃な位置にあった。


この駐車場から目につくのは大きな円形の花壇がある広場だけど、流也さまはぜんぜん違う方へと歩いていく。

どうやら別のルートがあるらしい。

流也さまの歩く先を見ると、駐車場の端の方に案内板が設置されているのが見えた。


「少し山道になるぞ、大丈夫か?」


おや、流也さまが私達の心配をしてくるとは珍しい。

でもご心配なく、私の前世は海はないけど山はたくさんある県で育ったからね。

この手の「国立公園」ってやつは意外と整備が行き届いてなくて、剥き出しの自然を感じられるような・・・普通に険しい山道があったりするんだ。


だから間違っても高いヒールなんて履いてきたりしない。

ちゃんとそういう道を歩きやすいような靴を履いてきておりますとも。

もちろん綾乃様の靴もスニーカーだ、アルバイトの時に用意した私服が役に立ったね。


「ええ、これくらいは問題ないわ」

「二階堂さんはそう言ってくれてるけど、途中で休憩は入れよう、無理して流也のペースに合わせる必要はないからね」


流也さまを先頭に、礼司さま、綾乃様、私、左子の順で細い道を進む。

道は木材で補強されており、思ったほど厳しくない・・・礼司さまも気遣ってくれるし大丈夫そう。

綾乃様も運動神経良いからね、今回のメンバーでは私が一番体力無いかも知れないくらいだ。


紅葉の時期にはまだ少し早く、木々は少し色付き始めたあたり。

緑が多い中に所々混ざってくる黄色や赤・・・これはこれで結構綺麗なんじゃないかな。

土と木の板で出来た階段状の坂を上ると、道は大きく開け山々を見渡す展望が広がる。

なかなかの絶景ポイント、目の前を行く綾乃様が息を飲むのを感じられた。


「わぁ、すごい綺麗ですね綾乃さ・・・?!」


がしっと腕を掴まれた。


「え・・・」


掴んだのは綾乃様だ。

何やら小さな声で呟いてる・・・ええと・・・なんて言って・・・


「たかいこわいたかいこわいむりむりむりむり・・・」

「綾乃様?!」

「急に動かないで右子、転んでしまうわ・・・こ、こんな場所で転んだら・・・」

「し、しっかり意識を持ってください綾乃様!」


ああ、綾乃様は高所恐怖症だっけ・・・

ここまでは生い茂った木々のせいで視界が狭く、そんなに高さを感じなかったのだろう。

今開けた場所に来て、恐怖が一気に襲い掛かったようだ。


「ここで引き返しますか?」

「むりむりむりむり・・・こんなの降りれない、なんでここまで登れたのかしら」


今まで登ってきた道も、こうして上から見るとなかなかの角度だ。

手すりのような掴まれる場所もなく、私が見ても少し危なっかしい気がする。

なるほど・・・上りと下りではだいぶ印象が変わる道だ。


「と、とりあえず下を見ないようにですね・・・ゆっくり行きましょう、ゆっくり」

「え、ええ・・・」

「左子、もしもの時はフォローお願い」

「ん・・・まかせて」


道の片側が開けて何もない・・・崖のようになっている所があと10mくらい。

私にしがみついたままの綾乃様を刺激しないように、一歩ずつ進んでもらう。

普通にしてれば問題なく進めそうな道でも、綾乃様がこんな状態じゃ事故が起きかねない。

うぅ・・・なんか私まで怖くなってきた。


「もう少し先に進めば普通の道です、帰りは別のルートもあるので、ここを通らなくてもいいはず」

「そ、そうよね・・・ここさえ抜けられれば・・・」


綾乃様を励ましながら、もう一歩。

一気に進めば抜けられそうだけれど、綾乃様の歩みは遅い。


「もう少し、もう少しですよ綾乃様」

「・・・がんばって」


私達の応援を受けて、もう一歩。

いったいあと何歩進めば良いのか。

じりじりと進めてはいるんだけど、なかなかゴールが見えない。


「大丈夫?、二階堂さん」


礼司さまが気付いて戻ってきてくれた。

一目でこの状況を察してくれたようで、ゴール地点・・・道が広くなってる所から綾乃様に手を伸ばしてくれている。


・・・こ、この状況は!


『吊り橋効果』


そんな言葉が脳裏をよぎる・・・ここは吊り橋じゃないんだけど細かい事は気にしない。

たぶんいける、ここはチャンスだ。


「綾乃様、一度深呼吸しましょう・・・身体の力を抜いて・・・はい、すぅ~、は~」

「す、すぅ~・・・は~・・・」


綾乃様に深呼吸を促す。

狙い通りに私にしがみつく腕の力が弱まった。

よしっ、今だ・・・いっけぇ!


「礼司さま、受け止めてください!」

「えっ?!みぎ・・・きゃああああ!!」


綾乃様を振りほどき、全力で礼司さまの方へと押し出す!

残り数メートル、本来なら2、3歩で届く距離だ。

勢いのついた綾乃様は、よろけながらも礼司さまの胸へと一直線に・・・そして礼司さまがキャッチ。


「ヨシッ!」


思わず声に出してガッツポーズをしてしまった。


「礼司さま、私が行くまでそのままで!綾乃様今動けないと思うので!」


すぐに離してしまわないように念を押してから、ゆっくりと進む。

震える綾乃様を優しく抱き止める礼司さま・・・うん、絵になる組み合わせだ。

あの綾乃様の青い瞳で心細そうに見つめられて、心が動かない男性などそうはいない。

礼司さまの好感度もたっぷりと稼げたんじゃないかな。


「右子!」

「えっ、ちょっ・・・綾乃様」


私が到着するや否や、綾乃様は礼司さまから乗り換えるように私の方へ飛び込んできた。

その勢いに危うく落っこちそうになる私を、すかさず左子が支えてくれた・・・あぶないあぶない。

綾乃様ってば、せっかく礼司さまにアピールするチャンスだったのに、しょうがないなぁ。


「もう大丈夫ですからね・・・よしよし」

「もう右子ったら、あそこで急に押すなんて・・・心臓が止まるかと思ったわ」

「ごめんなさい、でも礼司さまになら任せて安心かなって・・・」

「ふふっ・・・礼司さまを信頼してるのね」

「実際ちゃんと受け止めてくれましたしね・・・礼司さま、ありがとうございます」

「さすがに今のは僕も驚いたよ、あんまり無茶はしないように」

「へへっ・・・はーい」


好感度を稼ぐ作戦は上手くいったので結果オーライってことで。

この際、流也さまの好感度も稼げないかな・・・さすがにそれは欲張り過ぎかな。

でもチャンスがあるようなら狙いたい。


「そういえば流也さまはどちらに?」

「流也なら、あそこだよ」


そう言って礼司さまが指さした先。

あれは桜の木・・・なのかな・・・大きな木から崖の上にせり出した太い枝の上に、流也さまが腰掛けていた。

うわ・・・さっきの綾乃様じゃなくても怖くなりそうな場所に平然と座って、伸びまでしてるよ。


「遅かったな、この木の上が俺達が出会った場所だ」

「礼司さま・・・本当に?」

「あの頃は子供だったからね・・・さすがに今はちょっと遠慮したいけど」


たしかに、ゲームのイベントで見たイラストでは木の枝の上に二人で登ってたけど。

まさかこんな場所に生えてる木だったなんて・・・子供とはいえ恐れ知らずな・・・


「登らないのか、今も変わらず良い眺めだぞ」

「ここからでも充分それはわかるよ・・・ここは本当に変わっていないな」


そう言って流也さまの見つめる先を見ながら礼司さまは目を細めた。

・・・そこには、きっと二人にしかわからない景色があるんだろう。


でも残念ながら、そこは綾乃様を近付けられるような景色じゃない。

余程怖かったのだろう、綾乃様は先程から私と左子をがっつり両手に抱えていた。

しょうがない・・・やはりここは欲張らず、二人を邪魔しないでおきますか。


「たしかこの先に東屋があったはずです、そこで少し休憩しましょう」


それからしばらくして・・・

もう満足したのか、流也さまと礼司さまも東屋にやってきた。

なんとなくだけど礼司さまの表情が明るくなったような、そんな気がする。


「茶会から逃げ出した後、大人達を振り切ったのは良いんだけど、道に迷ってしまってね・・・その時、あの場所で木に登る流也を見つけたんだ」

「それで礼司さまも登ったんですか」

「あんな所に何があるのか気になってね・・・そういえば流也はどうしてあの木に登ろうと思ったんだい?」

「ああ、それは・・・『答え』がな、あると思った」


『答え』・・・ああ、謎解きイベントに参加してたんだっけ。


「さすがにあんな場所に答えを置くとは思えないわ」

「ふふっ、そうだね、大勢の参加者がいるイベントなら二階堂さんみたいな人でも行ける場所に置くはずだ」

「礼司さま酷い、今笑いましたね?!」

「いやこれは、思い出したわけじゃなくて・・・」

「あ、あれは忘れてください!」

「姉さん・・・忘れさせていい?」

「ちょっと左子?!暴力はダメだよ!」


そんな私達の反応をよそに、流也が少し寂しげな顔で・・・


「『答え』なんて、あるわけないがな・・・」


そう呟いたような、そんな気がした。

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