第7話 易しめなクエストで!
「どうしますか? 易しめなクエストにしますか?」
「あ! はい! お願いします!」
「それでは『サキガリ』の討伐はどうでしょうか? 報酬金も少ないですが、その分易しい難易度になっております」
『サキガリ』……。
なにそれ? おいしいの?
いや、文脈で判断するとなんかモンスターとかクリーチャーの名前なんだと思うけど。
ってか、易しい難易度って言ってたけど、そいつ強そうな名前してるよ?
本当にできるの?
「じゃあ、それで!」
クルミは特になにも考えてなさそうに言う。
「はい、では会員証がないので……、書類にお名前をご記入いただきたいんですけど……」
「あ、わかりました!」
クルミがそう言うと、女の人は奥の方に行く。
すぐに帰ってきたけど、ペンと紙を2枚持ってる。
「こちらの箇所にお名前をどうぞ!」
紙の下の方に線が引かれてる部分がある。
その上にもいろいろとなにか書いてあるけど、なんて読むかわからない。
多分この世界の文字だと思う。
クルミはそこにすぐにカナカナで名前を書く。
カタカナ通じるのかな……?
それと、クルミは躊躇なく名前書いてるけど大丈夫なのかな?
でも書かないとお金稼げないか……。
複雑な気持ちのまま俺は紙にカタカナで名前を書く。
「か、書けました……」
俺はペンを紙のそばに置く。
「……はい、かしこましました……」
女の人はそれを手にする。
それより、なんか気分落ち込んでる……?
「で、ではサキガリの『ハカシセキ』を一つ集めてきてください」
……『ハカシセキ』……?
待って、わからない単語が多すぎる。
「あ、あの! 『ハカシセキ』ってなんですか?」
またクルミが訊いてくれる。
「え? えっと……、クリーチャーを倒したときに出現する……、赤色の石のことです……」
「そうですか! ありがとうございます! じゃ、行こっか」
クルミが俺の手を握ってここから出ようとする。
あー、手握ってもらってる……。
「――あ、あの!」
俺たちが出ようとしてるとき、さっきの女の人が叫ぶ。
それで俺とクルミが同時にその方向を見た。
「も、もしなにかあったら! い、いつでも来てくださいね!」
女の人は叫ぶ。
「……そっか、ありがとうございます」
俺は不思議と微笑んでた。
かっこつけるとかそういう意味じゃない。
人とあんまり話してなくて、そういう心配されたことないから嬉しかった。
俺はずっとここにいると恥ずかしくなってきたから、なるべく早く出た。
……自分のことだけど、恥ずかしかったな……。
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