第5話 敬語はやめよう
外に出てみたけど、近くにモンスターとか変なやつがいる気配はない。
ただ草原。
あー、自然だ……。
「いませんね……。さっきまではいたのに……」
「まぁ、急いではないですし……。ゆっくり暮らしましょうよ」
「あ、いいですね! そういう考え好きです!」
あ、ありがとうございます。
考え方褒められたの初めてだ。
「あ、それと……、お互い敬語やめていいですかね……? これから一緒に暮らしますし……」
「あ、それで大丈夫です」
「うん。じゃあよろしくね、カタナ」
ニコッて笑うクルミさん。
あと、今『一緒に暮らす』って言った……?
男の俺と女のクルミさんが……?
ま、まぁせっかく会えたしこんな世界に転生……かな?
まぁ、それをしたから一緒に暮らして状況とか説明し合うのが大事だと思うけど。
それでもなんかちょい抵抗を感じる。
「あ、それより村行ってみようよ。そこなら食べ物とかもらえると思うし」
「あ、あー、いいね」
タメ口で言ってみる。
こっちはめちゃくちゃ緊張して言ったのに、クルミさんはそんなこと気にしてないみたい。
それよりクルミさんは俺を呼び捨てで呼んでたし、俺もクルミさんのこと呼び捨てしていいのかな?
「村の場所は知ってるんだ。一緒に行こ?」
クルミは俺の手を握って歩く。
……初めてかも、女子と手繋いだの。
村まで来た。
結構ざわざわしてる。
市場みたいなのになってて、いっぱい人いる。
でも全員『村人』って感じの服装とか雰囲気してるから、全員NPCかな?
一応説明すると、『NPC』っていうのはゲームの中のキャラクター。
つまり、『村人A』とか。
ゲーム上のキャラっていったらわかるかな?
「うわー、美味しそうなケバブみたいなやつ売ってるよ! 無料でもらえないか相談してみる?」
「無料は厳しいんじゃない……?」
「ま、訊いてみよ!」
そう言ってクルミは近くにあるケバブの屋台みたいなところにいる男の人に近づく。
ムキムキな人だ。
「あの、すみません。その料理美味しそうですね」
「おー、かわいいお客さんだな」
すげー、ちゃんと会話できてる。
そのコミュ力がほしいよ、俺も。
「それってお金かかりますよね……? 今私たちお金持ってなくて……。無料とかっていけますかね……?」
「無料? それは厳しいな。一応値段言っとくと『52ライカ』だよ」
『52ライカ』……?
この世界のお金の単位は『ライカ』なのか?
「あーと、どこでお金稼げますかね?」
「普通に働きな?」
「どうやって働くんですか? 私たちここに来たばかりで……」
「それならクエスト達成して稼ぎな? あんたみたいな若い人はそれで稼いでる人が多いからね」
……なるほどね、そういうスタイル。
面白そうじゃん。
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