第9話 音楽部の初練習

翌朝、心地よい秋の空気が学校の校庭に広がる中、俺は音楽部の初練習に向けて気持ちを高めながら登校した。音楽部に参加するのは初めてで、どんな活動が待っているのか少し緊張していたが、アリスや部員たちとの交流を楽しみにしていた。


「おはよう、ハルトくん!」


アリスが元気な声で迎えてくれた。彼女の笑顔を見ると、少しリラックスすることができた。


「おはよう、アリスさん。今日はよろしくお願いします。」


「もちろん。今日は初めての練習だから、みんなに軽く紹介しながら進めていくね。」


アリスに案内されて、音楽部の部室に向かうと、すでに数人の部員が集まっており、楽器のセッティングや練習の準備をしていた。部室は明るく、楽器や音楽の道具が整然と並んでおり、活気に満ちた雰囲気が広がっていた。


「みなさん、おはようございます。今日は新しくハルトくんが参加することになりました。」


アリスが部員たちに紹介すると、部員たちは笑顔で迎えてくれた。


「こんにちは、ハルトさん。ようこそ、音楽部へ!」


「こんにちは、よろしくお願いします。」


初めての練習では、まず音楽部の基本的なルールや練習の流れについて説明を受けた。アリスがピアノを弾きながら、軽くウォームアップの練習を行い、その後は合唱の練習が始まった。


「最初は簡単な曲から始めよう。これが今日の練習曲だよ。」


アリスが楽譜を配りながら説明する。俺は手元の楽譜を見ながら、初めての練習に挑む。最初は音程を取るのが難しく感じたが、アリスや他の部員たちのサポートを受けながら、徐々に慣れていくことができた。


「ハルトくん、音程が少しずれてるよ。ここはこうやって歌ってみて。」


アリスが優しく指摘してくれる。彼女のアドバイスを受け入れながら、一緒に練習を続けるうちに、少しずつ上達していくのを実感できた。部室の空気が温かく、みんなが支え合いながら練習している姿に、自然と励まされる。


「それでは、次に楽器の練習を始めましょう。」


アリスが指示を出し、部員たちがそれぞれの楽器を持ち出す。俺もピアノの前に座り、簡単な練習曲を弾いてみることにした。最初は緊張したが、みんなの励ましのおかげで、自信を持って演奏することができた。


「いい感じだね、ハルトくん。これからもその調子で頑張ってね。」


「ありがとうございます。これからもっと練習して、上達していきたいです。」


アリスと他の部員たちとの会話が弾み、音楽部での活動がますます楽しく感じられた。練習の合間には、部員たちと軽くおしゃべりをしながら、彼らの音楽に対する情熱や日常生活について聞くことができた。アリスの話では、音楽部では様々なイベントやコンサートがあり、それぞれが自分の得意分野で活躍しているとのことだった。


「アリスさん、音楽部のイベントってどんなものがあるんですか?」


「いろいろあるよ。学校内での発表会や、地域のイベントにも参加するし、年に一度の大規模なコンサートもあるんだ。みんなで協力して、素晴らしい演奏を作り上げるのが楽しいんだよ。」


「それは楽しそうですね。僕もできるだけ参加して、経験を積んでいきたいです。」


「ぜひ、一緒に頑張ろうね。みんなで支え合いながら、いい演奏を作っていこう。」


音楽部の練習が終わると、部員たちとおしゃべりをしながら楽しい時間を過ごした。部室にはリラックスした雰囲気が漂っており、みんなが和気あいあいとした雰囲気で交流していた。


「今日の練習はどうだった?」


アリスが笑顔で聞いてきた。


「楽しかったです。みんなと一緒に音楽を作るのはとても楽しいですね。」


「良かった!これからも一緒に頑張っていこうね。」


「はい、よろしくお願いします。」


部活動が終わると、アリスと一緒に学校を出た。音楽部での新たな経験が、自分にとってどれほど意味があるかを感じながら、放課後の時間を楽しんでいた。


帰り道で、リリィとアリスに今日の感想を話しながら、次に参加するべきクラブやイベントについてのアドバイスをもらった。リリィは美術部の活動を続けるつもりで、自分もそれに影響を受けながら新しい挑戦をしていきたいと考えていた。


「音楽部も楽しそうだね。これからもいろんな経験をして、自分に合ったものを見つけていこう。」

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