第7話 ピクニックの準備と新たな出会い

翌日の放課後、リリィの提案で公園でのピクニックが行われることになった。天気も良好で、ピクニック日和という感じだ。放課後の授業が終わり、俺は急いで家に帰り、準備を整えた。リリィからの指示で、特に特別な持ち物は不要だったが、何か手土産を持っていこうと考え、近くのスーパーマーケットで軽食をいくつか購入することにした。


「これで大丈夫かな?」


カゴの中には、サンドイッチやフルーツ、飲み物などが入っている。リリィやアリスと一緒に楽しめるようにと思って選んだが、少し不安もあった。公園へ向かう途中、リリィに電話をかけて確認してみる。


「もしもし、リリィさん?」


『あ、ハルトくん。どうしたの?』


「今、ピクニックの準備をしてるんだけど、何か持って行った方がいい物とかある?」


『特に大丈夫だよ。軽食とか飲み物があれば十分。あとは楽しい時間を過ごすだけだから、気にしないでね。』


「了解しました。今から公園に向かいます。」


公園に到着すると、すでにリリィとアリスがシートを広げて、準備を整えているのが見えた。青空の下で、楽しげな雰囲気が広がっている。


「こんにちは!」


「おお、ハルトくん!ちょうどいいタイミングだね。」


リリィとアリスが笑顔で迎えてくれた。俺が持参した軽食を広げると、二人がその内容に感心している様子だった。


「これはおいしそう!ありがとう、ハルトくん。」


「どういたしまして。みんなで楽しめるといいな。」


ピクニックが始まり、リリィとアリスとの会話が盛り上がる中で、リラックスした雰囲気が心地よかった。広々とした公園の中、他にもピクニックをしている人々や、ジョギングをしている人たちが見受けられ、平和な時間が流れていた。


「それにしても、ハルトくん、これからどんな活動をしていくつもり?」


リリィが質問してきた。俺は少し考えながら答えた。


「まだ具体的な計画はないけど、まずはこの学校や周りのことをもっと知りたいと思ってる。それから、できれば何か自分にできることを見つけたい。」


「それは良い考えだね。いろんなことを経験しながら、自分に合った活動を見つけていくといいよ。」


「そうですね。リリィさんやアリスさんのおかげで、少しずつ馴染んできている気がします。」


ピクニックをしながらリラックスしていると、突然、公園内で賑やかな声が聞こえてきた。見てみると、子供たちが楽しそうに遊んでいるのと同時に、一団の女性たちが何かを盛り上げている様子が見えた。


「おや、あのグループは何をしているのかな?」


アリスが目を細めながら眺めている。その時、一人の女性が公園内を歩きながら、俺たちの方に向かってきた。彼女は流れるような長い髪と、美しい笑顔が印象的で、まるでモデルのような存在感があった。


「おっ、あの人、見たことある?」


リリィが呟いた。俺も興味津々でその女性に注目していた。


「こんにちは、皆さん。」


女性が近づくと、リリィとアリスがすぐに立ち上がり、その女性と親しげに挨拶を交わした。


「こんにちは、マリアさん。」


「こんにちは、リリィさん、アリスさん。お久しぶりです。」


「こちらが新しく転校生のハルトくんです。ハルトくん、こちらがマリアさん。」


「はじめまして、マリアさん。」


「はじめまして、ハルトさん。お会いできて嬉しいです。」


マリアさんは優雅な微笑みを浮かべ、俺に向かって手を差し出してきた。俺はその手を丁寧に握り返しながら、緊張しつつも自己紹介をする。


「こちらこそ、よろしくお願いします。」


「それでは、お茶を飲みながら、少しお話ししませんか?」


マリアさんが提案する。リリィとアリスも同意し、再びカフェのような雰囲気に戻ることになった。


「マリアさんはどんな活動をしているんですか?」


「私は地域のイベントやボランティア活動をしているの。みんなの役に立てることが嬉しくて。」


「素晴らしいですね。」


「ありがとうございます。ハルトさんも何か興味があることがあれば、ぜひ参加してみてください。」


「そうですね、何かあれば参加してみたいと思います。」


ピクニックの時間は、マリアさんとの新しい出会いを加えて、さらに楽しいものとなった。自然に囲まれた公園で、リリィやアリスと共に過ごす時間が、心からリラックスできるひとときとなった。


日が暮れ始める頃、ピクニックも終わりに近づいてきた。リリィやアリス、マリアさんとの会話が、これからの新しい生活に対する希望と期待をさらに膨らませてくれる。


「それでは、また明日学校でね、ハルトくん。」


「はい、また明日。」


マリアさん、リリィ、アリスと別れた後、帰路につきながら、今日の出来事を振り返る。新しい環境での出会いと体験が、ますます興味深く、充実したものに感じられた。これからも、この世界での生活を楽しんでいくための新たな一歩を踏み出す決意を新たにするのだった。

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