第2話 名はアレン·スレヤード
「おはよう、アレン」
どこからか低い男性の声がした。アレン?一体誰のことだ?
「あらアレン起きたの?今日はね、買い物に行くのよ」
よく見ると、父親と母親らしき2人の人物がこちらを見下ろしていた。アレンとは、俺の新しい名前らしい。買い物か、この世界での買い物はどうなんだろうか。
「あう、あう!」
「あら、行きたいの?ついてくる?」
「むー」
くっ、やっぱり赤ちゃん言葉しか話せないのか!意思疎通ができないなんて…だが、運良く今回は伝わったみたいだな。
「じゃ、準備も終わったことだし行くか!」
「そうね。ほらアレン、こっちおいで〜」
「んう!」
しばらくして。商店街らしきところに着いたが、どうやら早速、母が客引きに寄せられようだ。よくよくみると、置物の雑貨店みたいだ。
「やあいらっしゃい。何か買っていくかい?こいつはな…」
と勝手に話し込む店主。話によると、この世界の最高ランクであるUR級木材を使った物たちらしい。猫っぽかったり犬っぽかったりしてるな、と思えば動物をかたどったお守りだという。それもあってか、値札をみるととんでもない数値だった。こいつ、まさかぼっまくりか?と思ったのも束の間、ここは高級品が立ち並ぶ商店街だとか。心でも読んだかよ、こいつ。と思うくらいタイミング良く出してくれた情報だ。しばらく悩んでから俺が産まれたこともあって、ひとつ買ってもらった。
「さあアレン、これ持ってみな」
「んう?」
父に言われるがまま持ってみると、突然【鑑定】という文字が現れた。どういうことだ?
【鑑定】
猫の置物
特防 +222 被ダメージ軽減率+15%
スキル発動率+25%
「おお!これは良い、本物みたいだな」
「じゃあこれ買います!」
「はいよー」
話の流れがあまり分からないが、あれはよくアニメとかで見る【能力】や【スキル】の類なのだろう。この世界では、それが普通なのか?そして、父はその中のひとつ、鑑定スキルを持っているとみた。俺はそんなことを思いながら、買ってもらった猫の置物を、ずっと大事ににぎっていた。もう少し、この世界を…この家庭のことを、知りたくなってきた。
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