第9話 秘宝の暴走と乙女たちの競演、アルノを巡るドタバタ劇
アルノたちがついに手にした秘宝が輝きを増し始め、部屋全体に異様な力を放ち始めた。その光はまるで生き物のように脈動し、アルノたちを包み込む。
「こ、これって何かおかしいわ!」
リリーが顔を青ざめさせながら叫んだ。秘宝の輝きはどんどん増し、部屋の天井に光の柱が突き上がっている。エリシアがすぐに動き、魔法陣を描きながら警戒した表情を見せる。
「これは…ただの秘宝じゃない。もっと強力で、制御不能な力があるわ。アルノ、気をつけて!」
しかし、その混乱の中でも乙女たちはアルノを気遣っていた。
リューナが彼に近づき、ふんわりと優しい声で語りかける。
「でも、心配しないで、アルノ。私はあなたのそばにいるから。あなたがどうなろうと、私はずっと守ってあげるわ。」
彼女の声にはいつも通りの甘さがあり、その言葉はアルノを包み込むような優しさを感じさせる。彼女がそっと手を伸ばし、彼の肩に触れるその仕草は、彼を安心させるようだった。
一方、カレンも剣を握りしめながら強くアルノを見つめる。
「アルノ、こういう時こそ冷静に判断しろ。私はお前が大切な仲間を守れるように、この剣で守ってやる。だから、もっと自信を持て!」
カレンの言葉には厳しさと同時に、彼に対する信頼が込められていた。彼女はアルノをリーダーとして認め、その力を引き出すために全力でサポートする姿勢を見せる。
しかし、そんな中でもリリーは嫉妬の表情を隠せない。
「ちょっと、アンタたち、アルノを囲むのやめてよ!アルノは私の仲間なんだから!」
彼女は焦った様子でアルノに駆け寄り、彼を引っ張るようにして自分の方に寄せた。
「アンタ、そんな簡単に誰にでも優しくしちゃダメでしょ。私が守ってあげるから、余計なことしなくていいんだから!」
リリーの不器用な言葉にアルノは苦笑しつつも、彼女の気持ちをしっかり受け取っていた。
その時、秘宝からさらに強い光が放たれ、突然暴走し始める。秘宝に封じ込められていた力が解き放たれ、部屋全体を飲み込もうとしていた。
「これはやばい…!みんな、距離を取れ!」
アルノが叫ぶが、光は彼らの逃げ道をふさぐように広がっていく。
エリシアがすぐに魔法の結界を張り、みんなを守ろうとする。
「私が結界を張るわ。アルノ、みんなを守る準備をして。」
彼女の冷静な指示に、アルノはデスグリモワールを取り出し、その力を解放しようとする。しかし、グリモワールのページが勝手にめくり始め、ノワールの声が頭の中に響いた。
「面白い。君がこの状況をどう切り抜けるのか、見ものだな。」
リューナがアルノに優しく触れながら、微笑んで励ました。
「大丈夫よ、アルノ。私たちがいるから、絶対に乗り越えられるわ。」
彼女の言葉には安らぎがあり、アルノの心を落ち着かせた。
カレンもまた、剣を掲げて力強く言った。
「この秘宝の力がどれだけ強大でも、私たちが一緒なら必ず乗り越えられる。アルノ、君がいれば、私たちは無敵だ!」
その言葉に、アルノは決意を固めた。彼には頼れる仲間がいる。彼はその仲間たちの力を信じて、再びデスグリモワールを構えた。
「みんな、力を貸してくれ!一緒に、この試練を乗り越えよう!」
アルノの叫びに、乙女たちはそれぞれ頷き、彼を中心に力を集め始めた。
リューナの魔法、カレンの剣、リリーの守護、そしてエリシアの知恵が結集し、暴走する秘宝の力を抑え込んでいく。
「アルノ、あなたならできるわ!」
リューナが彼に励ましの言葉をかけ、彼女の魔力がアルノに注がれていく。
「この剣で、全部終わらせてやる!」
カレンが前に出て、秘宝の中心へと突撃する。彼女の剣が光を切り裂き、暴走する力を打ち砕いていく。リリーもその背後でアルノを守り、全力で彼を支えていた。
「もう一息よ、アルノ!」
エリシアが最終的な結界を完成させ、秘宝の暴走が止まる瞬間、アルノはデスグリモワールに秘宝の名を刻み込んだ。激しい光と共に、秘宝の力は封じられ、静寂が訪れた。
暴走を止めた彼らの前に現れたのは、秘宝を守っていた守護者の魂だった。
「試練を乗り越えたお前たちに、真の力を授けよう。」
その言葉に、アルノたちは新たな力を得ることになる。そして、乙女たちのアルノに対する想いは、ますます強まっていく。
次回、乙女たちとの絆がさらに深まり、アルノは新たな力を手にする。しかし、そこにはさらなる試練と新たな敵が待ち受けていた——。
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