第8話 秘宝を巡る恋の攻防、乙女たちの想い
アルノたちがついに秘宝の眠る部屋へとたどり着いた。部屋の中央には、光り輝く台座の上に宝石のように美しい秘宝が鎮座している。それを見た瞬間、乙女たちの目は輝き、それぞれがアルノに何かを期待しているかのような視線を送る。
リューナが最初にアルノに近づき、彼の腕にそっと手を添えた。
「アルノ、ここまで来れたのはあなたのおかげよ。本当に頼りになるわね。私、あなたと一緒ならどんな困難でも乗り越えられる気がする。」
その声は甘く、彼を魅了するような響きを持っていた。彼女はそのまま、アルノに寄り添い、彼をしっかりと抱きしめる。
カレンもまた、少し距離を置いていたが、剣を収めてアルノに歩み寄ってくる。
「ふん、やるじゃないか、アルノ。でも、これで終わりじゃない。これからも私の背中を守れるよう、もっと強くなってもらうぞ。」
そう言いながらも、カレンの顔は赤く染まり、彼に対する強い気持ちが伝わってくる。彼女は無意識のうちにアルノの手を取り、しっかりと握りしめた。
「これからも、ずっと私の隣にいてくれよ。」
リリーがそれを見て、すぐに顔をしかめ、アルノに駆け寄ってきた。
「ちょっと!アンタたち、いくらなんでもくっつきすぎでしょ!アルノは私の仲間なんだから、そんな簡単に渡すわけにはいかないんだからね!」
リリーは勢いよくアルノの腕を引っ張り、自分の方に引き寄せる。その時、彼女の顔も真っ赤になっていた。
「ほら、もっと私のことも見てよ。私だって、ずっとアンタのために戦ってるんだからね!」
彼女の言葉には、普段のツンデレな態度とは裏腹に、深い愛情が感じられる。
三人の乙女がそれぞれアルノに想いを寄せ、彼を巡って微妙な緊張感が生まれていた。リューナはその美しい微笑みを浮かべながら、優雅に言葉を続ける。
「でも、アルノ。私が一番あなたを癒してあげられると思うの。私の魔法であなたの疲れをすべて癒してあげるわ。いつだって私を頼ってくれていいのよ。」
彼女の声には柔らかさがあり、アルノはその言葉に心を和ませられる。
「ふん、癒しなんて必要ないさ。アルノが求めているのは、もっと強くなれる方法だろ?」
カレンはそう言いながらも、どこか不安げな表情を浮かべ、アルノに向けて熱い視線を送る。
「私はずっとあなたを守ってきた。これからも私の剣があなたの盾になるわ。だから…他の誰かに奪われるなんて許さない。」
リリーも負けじとアルノにぐっと近づく。彼女の顔は完全に赤く染まり、彼に直接的なアプローチをする勇気を振り絞っているようだった。
「だ、だって、アンタは私の仲間だし…いや、なんでもない!」
そう言って彼女は顔をそらすが、アルノの袖を掴んだまま離さなかった。
「アンタがいなくなったら…私、どうすればいいのさ!」
アルノはその場で完全に困惑していた。リューナの魅惑的な笑顔、カレンの誇り高き強さ、リリーの不器用ながらも真っ直ぐな想い。どれも彼にとって大切な存在であり、彼女たちの気持ちに応えたいと思いながらも、一人を選ぶことができないでいた。
「みんな…ありがとう。俺にこんなに信頼してくれて、本当に嬉しい。」
アルノは少し照れたように言いながら、それぞれの手を取った。
「俺は、君たちみんなの力があってこそ、ここまで来られたんだ。これからも、俺はみんなと一緒に進んでいきたい。」
彼の言葉は、彼女たち全員を喜ばせたようで、リューナは優しく微笑み、カレンは顔を少し赤くしながらも頷き、リリーは少し照れたように顔を伏せた。
だが、そんな微笑ましい瞬間も束の間、遺跡の最奥部で秘宝が輝きを増し始めた。その光は、不気味なほどに強く、何か異常な力を秘めているようだった。
「アルノ、これはただの秘宝じゃないわ…もっと大きな力が眠っている。」
エリシアの警告に、アルノたちは再び緊張感を取り戻す。次なる試練は、秘宝に封じ込められた邪悪な力だった。
次回、アルノと乙女たちの運命が秘宝の力により大きく揺れ動く。秘宝が呼び覚ますさらなる力、そして乙女たちのアルノへの想いは一体どうなるのか——。
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