囚人番号n

N_

入監

XX10年 2月28日 21:15


今日から獄中生活が始まった。

最悪な気分だ。

牢獄の中はホコリと虫だらけ。寝床ときたら足が折れかけていて何時いつ壊れるか分からない。

壊れかけた時計と、便所、ガタがきてる机と椅子。

格子は丈夫に出来ていて壊そうとしても出来ないし、そもそも前に見張りの警官がいる。

ストレスしかない

幸い、2人部屋では無いので狂った奴らと共に過ごすことは無さそうだ。

あぁ、隣の牢から猛獣のような唸り声がしている。

今日は寝れそうにない


大体、私が何をしたと言うのだろうか。

今日の朝、いつも通りに家でのんびりしていた。

そうしていたら玄関のチャイムがポーンと鳴り、

扉を開けた私は何者かに思い切り殴られて気を失った。

そして気がつくと、尋問部屋のような所に私はいた。ボロっちい木の椅子に手枷を付けられたまま

座らされ、机を挟んで前には男が座っていた。


「今日から入監してもらうことになった。何故かは、言わなくても分かるだろう。」

と男が一言。

しかし、私は何かした覚えも無ければ、何かしようとしていた訳でもない。全くの身に覚えの無いことであったので、知らないという旨を話し、帰すように頼んだが


「覚えていないのならしょうが無い。思い出すのも時間の問題さ。それまではゆっくり獄中生活を楽しむといい」

と怒鳴って男はドアを乱暴に開けて去っていった。

私は状況が飲み込めず、硬直していた。

すると直ぐに、後ろにいた警官らしき者によって私は拘束され、監獄へと連れてかれた。


監獄までは輸送車で運ばれ、同じ車には他にも囚人と思しき者たちが乗っていた。囚人が乗るスペースは僅かであったので彼等の匂いが鼻についた。

私を含め、運ばれている者達は手枷に加えて口枷もされていたので会話や手話などは全く出来なかった

彼等にはまた会うことがあるだろうか。


監獄と思われる場所に到着すると、我々は手枷に付いている鎖を引っ張られながら歩かされた。

まるで犬の散歩のようで屈辱だった。

その道中景色を見たのだが、どうやらここは随分と広大な敷地であるようだ。監獄、というよりも何か街と近い雰囲気がある場所である。人の声が飛び交っている。

その中心部に、我々の牢屋はあるらしい。

ここに来て初めて入った建物は、レンガ調の高層ビルのような場所だった。


中に入ると、多くのエレベーターが目に入った。

ざっと数えて十数個はある。

私は1番右端のエレベーターに乗せられ、上へエレベーターは上へと上がった。

エレベーターのボタンを見る限り、この建物は13階であるようだ。

そして私は12階で降ろされた。

エレベーターから降りると、誰かが発狂している声が響いていた。その声に怯えながらも廊下を進み、看守のような者に牢屋に押し込められた。

その際、口枷と手枷は外された。


どうして私が捕まったのか、私は何時いつまでここに居なければ行けないのか、そもそもここはどこなのか 様々なことを看守に聞いたが、その看守は一言、私に言った


「今日からお前は 囚人番号n だ」  と。


そして明日の起床時間が6:00頃と聞かされ、看守は去っていった。


そして今に至る。 

まだ状況が呑み込めていないが、私が捕まっているということは事実だ。(今の所だが)

恐らく直ぐに間違いということに奴らも気がつくだろう。

それまでは時間の問題である。それまでにここの実態を忘れぬよう、ここに記していこうと思う。

このメモ帳は前にいる警官に頼んだら持ってきてくれた、私物である。

これの用途を答えた時の警官の表情が気にはなるが..


とりあえず、隣の唸り声に耳を塞ぎながら寝ることが今の目標である。

では、今日はここで終わっておく。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

囚人番号n N_ @n_to

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画