第213話 排斥 ニ
二か月前
「おい、あの女………いつになったら
「知るか………このまま交代で見張るしかないだろ………手ぶらで帰ったらファルゲン様に殺されるぞ俺ら………」
「チッ………それもそうだが………」
ウーズ・ブレイクの騒動で瓦礫まみれの街『メフェリト』で、奴隷商『白馬』の構成員である男たちはイルを見張っていた。
というのも、男達は『抹殺』を命じられていたのだが、当時のイルの周りにはウーズ・ブレイク戦で大活躍していたヨミヤやヒカリ達が居たため、好機が来るまで街を復興している住人に紛れていたのだ。
「おいお前ら」
そこへ、元『賢者の柱』周辺を住人に扮して探索してた仲間が戻ってきた。
「どうした」
「見ろよコレ」
戻ってきた男が懐から取り出したのは、筒状の先端と
※ ※ ※
現在。
魔族領、国境付近の町『デルト』。
「死ねぇ魔族共!!」
町の入り口で、銃声が響く。
「ァ………」
被害者は男性の
凶弾は運悪く男性の心臓を貫き、鮮血が宙を舞う。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
女性の悲鳴を皮切りに、一般の市民たちは一斉にその場から駆け出す。
「おらおらおらどうしたァ!! こんなもんかよ化け物どもがッ!!」
『銃』を乱射するのは五人ほどの男達。―――それぞれが片手に銃を持ち、無差別に住人を攻撃している。
「このっ………人間風情がっ………!!」
そのとき、
「おい、アレ出せ!!」
「おう、任せろォ!!」
そのとき、男の内一人が、巨大な筒を持ち出す。
「死んでろ」
「なッ———!?」
刹那―――筒から火炎の塊が射出。
驚愕する
「アイツ等………ッ!!」
メインストリートに面する宿屋に止まっていたヨミヤは、窓から見える騒動の原因である男たちを見て顔をしかめた。
—――あの真ん中の男………昨日『白馬』の奴らと一緒に居た男だ………!!
そう、エクセルの姿は見えないものの、『白馬』が魔族領まで襲撃してきたのだ。
「しかもアレは………ッ!!」
何よりヨミヤを戦慄させたのは、『ランスリーニ』で苦渋を舐めさせられた『銃』の存在だ。
「なんでアイツ等が………」
その時、再び銃声が町中に響き渡る。
「いや、今はそんなこと———どうだっていい!!」
すぐに窓から飛び出そうとするヨミヤ。
が———
「待て」
イルがその腕を力強く握り———ヨミヤを制止した。
「私が行く。―――しっかり変装してから来るんだ」
「ちょっ、イルさん………!!」
先ほどまで寝ていたイルは、いつの間にか剣帯に武器を差し、ヨミヤと入れ替わるように外へ出る。
「クソ………!
白の光粒がヨミヤを包み、額に二本の角を生み出す。
自身の視界の上の方に角があるのを確認したヨミヤはすぐに飛び出そうとして―――
「ヴェール」
ベッドの上で不安そうな顔をするヴェールへヨミヤは笑顔を見せた。
「ここに居てね」
「………うん」
それだけ言い残し、ヨミヤはイルの後に続き窓の外へ飛び出した。
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