月とウサギ

@BAHO

第1話

『月とウサギ』


秋夜、ここは淀川大橋の袂でございます。


「うわーなんや、人がぎょうさんおるな」

「川の向こう岸まで、溢れかえってるやないかい」

「何かあるんやろうか」

「ん?え??、、、人ちゃまいすやん!」

「なんて?」

「なんかこう白い、ぼんやりした…」

「なんや?幽霊か?」

「白くて、ふんわりして…」

「餅か?」

「そうやなしに、、白くて、ふんわりして、耳があって…」

「白くて、ふんわりして、耳があって・・・あ!食パンか!!」

「そうやなしに、、よく見てみい、、あれは、ウサギや!!!」

「へ??ウサ、、うわ!ほんまや、えらいこっちゃ、、ウサギの大群や、、」

「どれだけおるんやろ?」

「数えてみるか?」

「いち、にい、さん、し、ご、、、あ、アカンわからんなった、、」

「ドアホ」

「しゃーないって、よー見てみぃな、、人間と違いますやん、服着てるわけでもなし、皆んな同じに見えて、どこまで数えたか、よーわからんなりますって。。」

「お前は、それやからアカンな。頭を使い、頭を。よーく見てみい」

「へ?」

「奴さん、レジャーシートに座ってるな」

「レジャーシート?、、あー、ほんまや。えらい律儀やなー。グループ毎に一枚のレジャーシートに収まってる。」

「それが分かれば簡単やないかい。一枚のレジャーシートに何人、、何匹おるか数えて、あとはレジャーシートの枚数を掛けたら数がわかるやろ」

「なるほどね、流石、頭のキレるのはちゃいますねー、、、おかしいやないかい?」

「何が?」

「どのレジャーシートにも同じ数のウサギがおるかわからんやろ」

「お前は強情な男だね、、ウサギはレジャーシートに同じ数で座る習性があるの!そういうことにしておきなさい!!!」

「な、なんだよ、急に大きな声出して、、わかった、わかった、そういう習性があるのね。    泣くんじゃないよ、、そんな思い詰めることじゃないでしょ」

「わかればよろしい」

「怖くなるくらい、切り替えはやいな、、、」

「じゃーー、数えるよ。レジャーシート一枚あたりのウサギの数ね。いち、にい、さん、し、ご・・・・・わかった!」

「どうした?」

「じゅうごや(十五夜)」

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