第12話 女神が、女神が降臨なされておる……!!
「お兄に迷惑かけたな。謝らないと……」
自分が倒れていたことに気づかずに紗季は目を開ける。
「起きましたか」
「え?」
目を開けるとゴージャスを形にしたような天蓋付きのベッドと、良く恋愛ドラマとかでお金持ちのライバル役が着ている巷でお嬢さまワンピースと言われるワンピースを着た良家の令嬢を形にしたような人がいた。
ダンジョンの中からいきなりこの状況。
紗季の認識がバグり機能不全に陥る。
そんな意中の相手──快晴の妹の様子を見て、良家の令嬢こと優恵はニコリと微笑みながら内心脂汗を流していた。
優恵は初対面の紗季といい関係になることですれ違いで罅の入った快晴との関係を改善しようという思惑があり、ここでは失敗をすることは彼女と快晴のこれからの関係性の死を意味するからだ。
ここでは何としても紗季の信頼を得られるような尊敬できる姉的なポジションを得なければならないと気負っていた。
普段の自分を誤魔化すために──クローゼットに奥深くに眠っていたお嬢さまワンピースを発掘して普段の短パンタンクトップから着替える気合いの入りよう。
暇を出されたと思った直後、竹内兄妹を持て成すために呼び戻された使用人たちが喫驚するレベルのものだった。
「普段からお兄様の快晴さんと懇意にしている探索隊の同僚の優恵です。調子はいかがですか?」
懇意どころか若干ギクシャクしているのが実態だが優恵は快晴との関係性を盛りつつ自己紹介をしつつ、微笑みながら紗季に尋ねる。
紗季は優恵の口ぶりと体の傷が全て治っていることから、彼女が自分を治療したのだと察すると機能不全から立ち直り、一般人とは異なるお金持ちオーラを放つ優恵に気後れしつつ頭を下げる。
「はい、おかげさまで! 絶対傷が残るなって思ってた傷も綺麗に消えてるし、優恵さん本当にすごいです! ありがとうございます!」
「そんなに畏まらなくていいんですよ、紗季さん。あなたは快晴さんの妹で私の妹のようなものですから。傷からもあなたが大変だったことはわかります。良くがんばりましたね」
勝機。
ダンジョンで養った戦術眼で尊敬できる姉として懐の深さをアピールするチャンスが訪れたことを確信した優恵は紗季に優しい言葉を掛けて畳み掛ける。
自分の傷を癒してくれた心優しい人という印象がある上、クズホストの健太に引っ掻き回された心の傷が未だ深い傷跡を残す紗季にクリティカルヒットした。
慈愛に溢れた言動に紗季が今まで接したことのない輝かしいオーラを放つ女性。
紗季には目の前にいる優恵が地上に舞い降りた女神に見えた。
「う〜、優恵さん……!」
優しさが胸に染みる中、包容力のある優恵の豊満な胸に包まれた紗季は滂沱の涙を流す。
紗季は確信した。
この女神を兄に引き合わせることが自分ができる贖罪だと。
そしてこの女神を穢すことのないほどの善性を持っているのは兄の快晴だと。
顔が見えないので紗季がどんな顔をしているか分からず、優恵が「間違えてないよね?」と若干心配になっている中、妹と彼女になりたい女の協力関係が結ばれた。
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