俺のパーティ全員の役職はなぜか【ネクロマンサー】しかいない 〜異世界に転生した俺だけど、仲間になる奴らの役職が全員【ネクロマンサー】しかいなくて困ってるんだが〜

加奈かすり

第1話 俺の役職は【ネクロマンサー】なのか!?

 「――ここどこだ?」


 たしか俺は交通事故で死んで、たしかそのまま······。

 そこから先の記憶がない、というかここはどこだ?


 「······宇宙?」


 周りには星々があるのかポツポツ光があり、それは地面にまでのびるようにあった。

 まるで自分が立っている、と思えないほどに現実味を帯びていない。


 「葉月涼太さんですね。お目覚めですか」

 

 状況を掴めていないままでいると、突然背後から話しかけられた。


 後ろを向くとそこには天使?、というのだろうか、全体的な印象は“白”であり、背中には大きな翼のようなものが生えていた。


 (やっぱり俺は死んだのか······)


 一瞬信じられない自分がいたが、目の前の光景とと共に、疑念は確信へと変わった。


 「理解はできましたか?」


 「まぁな」


 天使のような人物が確認をしてくるが、迷いはない。それ以前か俺は妙に冷静だった。


 この場所はなぜかだか知らないが落ち着く、きっと俺と同じような境遇の人が送られる場所なんだろう。


 「早速本題に入っても?」


 考えていると天使が話し始めた。


 淡々と語る天使は二つの選択肢を示し、それは『異世界に転生する』、か『人間以外の生物に転生して、地球に戻るか』、というものだった。


 この選択肢は結構悪すぎないか?


 そもそも一度人間になっている俺に、次の生では人以外になることなんて考えることができない。

 ということは、異世界に転生するしかないのだ。


 「これ、異世界転生以外を選ぶ人なんているのか?」


 「いませんね」


 この天使はなにか考えがある気がしたが、それがなにか分からない。


 まぁ、実際ここでとやかく言ってもしょうがないので、大人しく従うことにした。


 「――じゃあ異世界へ転生で頼めるか?」


 「では、役職をお決めください。役職は種類が多いので、良く考えて選んでください、後から変えることはできませんので」


 まじか、ここでの選択が物凄く重要になる気がした。

 ここで変な役職にしたら、次の世界でもすぐに死ぬ気がした。


 異世界なのだから危険な生物がいるのだろう、このデタラメな空間も、この天使も、きっとそういう類いだ。


 「選んでください、と言うところですが。今は時間がありませんので、こちらでランダムに決めさせて頂こうと思います」


 「はい?」


 「では早速。――決めたら即座に転生させて頂きますので、ご了承ください」


 「いや、まてまて! 少しは考えさせてくれよ!」


 天使に抗議していると、突如、頭に声が鳴り響く。


 《役職、【ネクロマンサー】に付きました》


 あの天使、了承とか言いながら勝手に決めやがった······。

 というか、ネクロマンサーってあの召喚するヤツのことか?

 おいまじかよ、俺が最初に剣士とか適当に言っとけば、こんなことにはならなかったのに······


 「では。良い異世界ライフを」


 呑気な天使に苛立ちを感じていたら、周りから自分を囲むような光に包まれた。


 それと同時に俺は、意識が遠のいていくのを感じた······。

 

 


 

 


 

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