恋ひぬ涙の色ぞゆかしき

彩歌

プロローグ

「ーーっ!離してくださいっ!定子さだこ様っ!」

「ふふ。私とよく似ているとは思っていたが、まさか性別まで同じとは思わなかったな、桔梗。まぁ私はどちらでも桔梗であれば良いのだが」


 ぐいと定子が桔梗の袖を引き、烏帽子が落ちる。


「羨ましいよ。私も男の格好をしたいものだな」


 黙っていて欲しければわかっているなと定子は笑う。

 桔梗はやれやれとため息をつくと唇を寄せる。


 許されない関係に桔梗と定子はあった。


「ーー愛しておるよ、桔梗」

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