ダリア

@tamager

第1話 人工宇宙都市ダリア

 宇宙は既に人にとって未開の地では無くなった。


 遠く光るあの星は人によって設けられたものだ。


 地上800キロの上空の衛星起動を周回する宇宙都市ダリアは世界中の支援の元、2035年に建設計画が発足し毎年多額の資金が投入され少しずつ確実にその都市としての土台を作り上げてきた。


 建設開始から30年後の2065年には民間企業の定期便が就航し、地球からの移民者の応募が始まった。


 その後、いくつかのトラブルを乗り越えてダリア初の選挙が執り行われることになり、2080年にはダリアの未来を担う人材の育成の要といえるアカデミーの発足をかなえたのであった。


 そしてその輝かしい日からちょうど10年目の今、アカデミーの10期目の年、5期生達の社会進出の晴れの日を迎えるのである。


 アカデミーはダリアの中央区と呼ばれる公共ブロックに建設され、コンテナと呼ばれるブロックが9個、ブロック1個の大きさは約100平米の広さでそれが3✕3で並べられてできている。


 アカデミーの修業年数は5年で、5学年の教室と教務員室と残りの西側3個のコンテナは壁面を取り除き運動場となっていた。


 中央区にはアカデミーの他に生命活動に欠かせない水を蒸留する浄水ブロック、二酸化炭素を濾過する空調ブロック、これらはダリア内部に複数あり一つ二つ故障しても問題ないように配置されている。


 そして、行政を取り仕切るダリア市役所も、この区内にある。


 ダリアの人口は既に12万を越えており市と云うには大きすぎるきらいがあったが、建設開始からずっと市で呼んでいたこともありそのままでとおしてきたのである。


 今だ、建設中の最中ダリアは球体を目指していて、ちょうど地球のマントルの部分にコンテナが据え付けられ、核の部分が中空になった構造になっている。


 そして、その球体が軸を中心に回転することで人工的に重力を発生させているのだ。


 既に、第2期の移民の募集の話も出ている中、ダリアに今後必要とされる観光事業の立ち上げに民間企業のレイドリック社が選ばれたのである。

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