静かな部屋が好き

部屋は静かであって欲しい。


テレビは必要な時にしか観ないし、アンテナ線も繋いでいない。


実家に帰ったら、母が観てもいないテレビをつけていて、自治会で配る大切な書類作りに頭を悩ませていた。

アドバイスが欲しいと言われて少し考えていたら、テレビ画面からのガチャガチャした感じと激しく鼓膜を震わせてくる様にイライラしてきて、思わずリモコンを手に取った。


「うるさいから消すね!」


テレビは強制的に眠らされたようなもので、私好みの静かな部屋へと一転した。


一人暮らしの母は寂しいからか、電気をつけるみたいにテレビの電源をONにする。

一人暮らしじゃない頃も、振り返れば私が子供の頃からそうだった。


ほぼ毎日テレビは明るく光り、賑やかに音を出していたように思う。

その賑やかな中で家族揃って食事をし、時にほろ酔いの父は冗談を言って私たちを笑わせた。

テレビは観て楽しむものであるのと同時にBGMでもあったのだ。


私はどうだろう。今はテレビはつけない派だが、テレビに賑やかさを求めるようになる日が来るのだろうか。


とりあえず今は、静かな部屋でのんびりとしていたい。


私の鼓膜を震わせる音は、外から何となく聞こえる鳥の声だとか、雨の音だとか、季節によっては鈴虫やコオロギの声なんかもいい。


そういう音に気付くことができる静かな部屋が好きだ。



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