【毎日17時投稿】リサ・カーター 真実の目 シーズン2『デジタルの檻』真実はデジタルの檻に囚われている──暴露せよ、巨大な陰謀を。いつ規制されてもおかしくない、禁断の真実にあなたは耐えられるか。

湊 町(みなと まち)

第1話 デジタル社会の影

ワシントンD.C.の中心部、リサ・カーターは久しぶりに戻ったこの街で、再びジャーナリストとしての活動を再開していた。彼女は前回の事件で命を賭して真実を暴いたが、その戦いは終わっていなかった。デジタル社会の闇は、彼女が予想していた以上に深く、そして広がり続けていた。


リサは日々ニュースを追いかけながら、次第に一つの巨大な影に気づき始めていた。それは、世界中で広く使われているテクノロジー製品の背後に潜む、ビッグテック企業の存在だった。特にマイクロソフト。彼らの製品は便利で、誰もが日常的に使っている。しかし、リサの目には、その利便性の裏側に隠された巨大な監視ネットワークが見え隠れしていた。


オフィスでデスクに座り、リサはマイクロソフトに関する記事を読み返していた。Windows 10の自動更新機能、クラウドサービスAzureの急速な普及、そして企業や政府に提供されるAIソリューション……。これらの表向きの進歩の影で、マイクロソフトがどれほどのデータを収集し、それをどのように利用しているのか。彼女はそこに疑念を抱いていた。


リサはふと、過去に接触したテック業界の内部告発者の言葉を思い出す。「彼らはデータの帝国を築いている。あなたが見ているのは氷山の一角だ。」その言葉が、彼女の中でくすぶっていた炎に再び火をつけた。データの帝国——それは、ただの企業活動ではなく、世界の未来を左右する陰謀ではないか。


彼女は手元のメモ帳に「マイクロソフトの闇」と書き込み、調査のためのプランを立て始めた。まずは、マイクロソフトのデータ収集の実態を明らかにすること。それから、彼らがそのデータをどのように活用し、誰と共有しているのかを追う。そして、その最終目的が何であるのかを暴く——リサは心の中で決意を固めた。


その夜、リサは遅くまでオフィスに残り、マイクロソフトの公式文書や報告書、インタビューを読み漁った。彼らが発表している内容と、彼女の直感が告げる「闇」の間には大きな隔たりがあった。公式には、データ収集はユーザーの利便性とセキュリティ向上のためとされている。しかし、リサの目には、その言葉の裏に隠された監視と支配の意図が見え隠れしていた。


「彼らは何を企んでいるの?」リサは自問した。その問いに答えるには、さらなる情報が必要だった。そして、彼女は知っていた。この闇に切り込むには、一人では足りない。彼女には、テクノロジーの深層を理解し、それに対抗する知識を持つ人物が必要だった。


リサは、以前から注目していた『デジタル生存競争』の著者ダグラス・ラシュコフの名前を思い出した。彼の著作は、デジタル社会の裏に潜む危険と、テクノロジー企業の真の目的を警鐘するものばかりだ。彼なら、マイクロソフトの闇に切り込むための手がかりを持っているかもしれない。


翌朝、リサはラシュコフに連絡を取るため、彼の事務所にメッセージを送った。「デジタルの檻について、緊急に話す必要があります。」リサはメッセージを送り終えると、窓の外の夜明けを見つめた。デジタル社会の影は、確実に彼女たちの生活に忍び寄っている。そして、その影を照らし出すための戦いが今、再び始まろうとしていた。


リサの目には、かつてないほどの決意の光が宿っていた。この戦いは、単なるジャーナリズムではない。人々の自由と未来を守るための戦いであることを、彼女は強く感じていた。

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