となりのクラスメイトは最強のツンデレ
@viran3150
第1話目 覚めたら隣にツンデレがいた!
「朝、目覚ましの音が鳴る。いつも通りの朝がやってきた、はずだったんだけど……」
目を開けてみると、俺の顔の真横に見慣れない長い黒髪が広がっていた。
「えっ、誰?」
驚きのあまり声が出てしまうと、突然、隣の黒髪の主がゆっくりと目を開けた。寝ぼけ眼のその少女は、俺のクラスメイトであり、そして日本一ツンデレとして有名な佐々木真琴だった。
「ん……何よ、こんなところで寝てるなんて変態……。あ、あたしはただ寝てただけで、別にあんたと一緒に寝たかったわけじゃないんだからねっ!」
そう言うと、真琴は急いでベッドから飛び起き、寝癖を直しながらもプンプンと顔を赤くする。いや、俺もなんでこんな状況になってるのか全然わからないんだけど……。
「ちょ、ちょっと待てよ。なんで俺の部屋に真琴がいるんだ? 昨日、学校が終わってから俺はそのまま家に帰ったはずだし……」
昨晩の記憶をたどる俺の思考をよそに、真琴は拳を振りかざし、勢いよくツンツンと俺の胸を突いてくる。
「べ、別に理由なんてどうでもいいでしょ! 気にしないで、あたしは帰るから!」
「いや、気にしろよ!」
俺のツッコミも虚しく、真琴はそのまま自分のバッグをつかんで部屋を飛び出して行った。何がどうなっているのか理解できないまま、俺はベッドに座り込みため息をついた。
「いったい何が起きたんだ……?」
数時間後、学校にて
「おはよう、星野!」
教室に着くと、俺の幼馴染であり、同じクラスメイトの藤井綾乃が笑顔で手を振ってくる。綾乃は昔から俺の隣にいる優しい存在で、ツンデレの真琴とは正反対の性格だ。
「おはよう、綾乃。今日も元気だな」
「うん! それにしても、今朝すごいことを聞いたよ。星野君の家に、真琴ちゃんが泊まっていたって!」
「……何!?」
俺は驚愕して声を上げた。まさか学校中にその噂が広まってるなんて……。でも、なんでだ? 真琴が泊まった理由もわからないし、なんで彼女が俺の家に来たのかも謎だらけだ。
「星野、まさか……真琴ちゃんとそういう関係なの?」
綾乃がニヤニヤしながら質問してくるが、俺はあわてて否定する。
「いや、全然そんなことない! ただ、俺にもよくわかってなくて……」
「あれ? じゃあ本当にただの偶然だったのかな。でも、あの真琴ちゃんが君と一晩過ごすなんて珍しいよね」
そう言われて思わず頬が赤くなる俺。それを見た綾乃がクスクス笑う。
「星野君、もしかして……ドキドキしてるの?」
「してない!」
俺は全力で否定したが、その瞬間、教室の扉が勢いよく開かれた。そしてそこに立っていたのは、案の定、朝の彼女だった。
「おい、星野! 昨日のことは絶対に誰にも言うなって言っただろ!?」
そう叫びながら、真琴がずかずかと教室に入ってきて、またもや俺をツンツン攻撃する。
「だから、俺も全然わかってないんだってば!」
「いいから、黙れ!」
綾乃はその様子を見て、またもやクスクス笑いながらこうつぶやいた。
「星野君、二人とも仲良いんだね」
……いや、全然そんなことないんだけど、どうやらこれからしばらく波乱の日常が続きそうだ。
「おい、だからなんで俺の部屋にいるんだよ!」
ベッドから飛び起きた俺は、佐々木真琴の後ろ姿を見つめながら叫んだ。状況がまったく理解できない。クラスメイトで、しかもあの佐々木真琴だぞ? 近寄りがたいツンデレの彼女が、なぜ俺のベッドで寝ていたんだ?
「うるさい。別に、あんたに説明する義理なんてないし、何もしてないんだから気にしないで」
真琴はいつも通りの無愛想な態度を崩さず、さっさと制服の袖を通す。いやいや、気にしない方が無理だろ。誰だってこんな状況になったら、何が起きたのか気になるに決まってる。
「いや、俺は説明してほしいんだけど! 昨日、何があったんだよ。どうやってここに来た?」
「言っておくけど、私があんたに手を出したとか、そういう下心は一切ないから。安心しなさい」
真琴は俺を睨みつけながらバッグを肩にかけ、急いで玄関へ向かう。
「さ、さっさと忘れなさいよ! 学校でこの話をしたら、覚悟しておきなさい!」
そして、真琴はバタンと玄関のドアを閉めて出て行ってしまった。なんだこの朝は……? 俺の頭の中は疑問符でいっぱいだが、彼女に何かされると恐ろしいので、とりあえず何も言わずに従っておこう。俺も急いで制服に着替え、学校へ向かう準備を始めた。
数時間後、学校
「ねえ、星野君。さっきの話、本当なの?」
朝から噂が広まっていたらしく、クラスメイトたちの視線が痛い。綾乃が心配そうに俺に近づいてきた。
「いや、全然わけがわからなくて……。気がついたら真琴が家にいてさ。俺は何もしてないんだよ?」
「うん、星野君がそんなことするとは思ってないよ。でも、真琴ちゃんが君の家にいたなんて、びっくりだね」
綾乃は柔らかい笑顔を見せながら、俺に信頼を寄せてくれる。それがどれだけ救いになるか……本当に、綾乃は優しいな。
「でも、真琴ちゃんも、何か理由があったんじゃないかな? 話してみたら?」
「いや、話しかけたらまた怒られそうだよ……」
俺が困ったように頭をかくと、綾乃はクスクスと笑った。
「星野君って、やっぱり優しいね。そんなところが好きだよ」
「えっ?」
不意にドキッとするような言葉が出てきたが、綾乃はそのまま微笑んでいるだけだった。俺の心臓が少しだけ早くなる。まさか、綾乃も……?
教室にて
授業が始まり、俺はなんとか気を取り直して黒板に集中しようとしていた。しかし、真琴が背中の方でこちらを睨んでいるような気配を感じる。何か気まずいんだよなぁ……。
授業が終わると、突然真琴が席を立ち、俺の机の横に立った。
「昼休み、ちょっと話がある。ついて来なさい」
「え、今から?」
無理やり連れて行かれる形になり、俺は教室を出て真琴についていく。案内されたのは学校の裏庭。誰もいない静かな場所で、真琴はポケットに手を突っ込んだまま俺に向き合う。
「な、なんだよ?」
「昨日のこと……本当は私にもよくわからないの。気づいたらあんたの家の前にいたんだから」
「え? どういうこと?」
真琴は少し言いにくそうに眉をひそめ、話を続けた。
「実は……あの晩、どうしても家に帰りたくなかったの。でも、行くところがなくて……気づいたらあんたの家の前に立ってた。それだけよ」
「え、そんな理由だったのか?」
なんだよ、それ。真琴が家に来たのは偶然というか、仕方なかったってことか。でも、家に帰りたくなかった理由って……?
「……別に、あんたには関係ないわよ。余計なことは考えなくていいの」
真琴は恥ずかしそうにそっぽを向いた。俺は少し気まずい沈黙に耐えきれず、笑いながらこう言った。
「わかった。言いたくないなら、それでいい。でも、もしまた何かあったら、俺のところに来てもいいからな」
真琴の顔が一瞬驚いたように動く。
「べ、別にそうするつもりはないけど……ま、まぁ、その時は考えてやるわよ!」
そう言って、彼女は急いでその場を去って行った。俺はその後ろ姿を見ながら、これからどうなるんだろうと考えた。
これが俺と佐々木真琴の奇妙な関係の始まりだった。そして、日常の中で少しずつ明かされていく彼女の秘密に、俺はどんどん巻き込まれていくことになる――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます