第16話(最終話) 成果は二組?それとも?

「あっ、舞マイ戻って来た。」

「まーぃ子ぉ!」


「おぉ、マーくんも一緒じゃん。」


「マーくぅぅん!」

木下 富嶽(きのした ふがく)は、

マーくんに飛びかかり、ヘッドロック。

「どーなったぁ、どーなったぁ、マーくぅん。」


「ぅうぅぇ、く、るしい、ギブギブ!」






「舞子、話はできた?」

晴子は、男子には聞こえない程度の小声で問う。


「できたよ。」

さっぱりした顔の高井ちゃん。


「そっか。」

ニヤけているわけでもなく、恥ずかしがっているわけでもなく、

そんな顔を見て、結果を察した晴子。

「よかったね。」


「うん。また詳しい話聞いてね。」


「うん、聞かせてね。」







「さぁ、続きやろうぜ。」

張り切りボーイは、吉本 悟史(よしもと さとし)。


晴子は、それを受けて。

「では、皆の衆、再開しますよ、、、、、あれー。」


水槽の中には、クラゲがキラキラゆらゆら。

天井のスピーカーからは、蛍の光。

もう閉館の時間だ。


「あーーーん残念。時間です。

では、後は自前で頑張ってください。

恥ずかしがっていては、春は来ないよ。

失敗を恐れていたら、アオハルが終わっちゃうよ。

男も女も行動あるのみ!」


「霞さんが言うと説得力あるよなー。」


「じゃあ、今日はみなさんお疲れ様でした。

浅野はちゃんと瑠奈を送ってってあげてね。

では、一旦お開きでーす。」


「お疲れ様でした。」

「お疲れーーー。」

「あしたぁ!」

「あざーす!」






最寄りの駅まで歩いて帰る。高校生男女6対6。

「ねぇ、お腹空いたよー。」


「色気より食い気だな。」


「なぁによぉ、みんなもお腹空いたでしょう。

なんか食べていかない?」


「駅までの途中にお店が並んでるところあったよね。」


「あった。フードコートみたいだった。」


「行きますかぁ!」


「行こう!」

「行く!」

「ゴォー!」






「結構混んでるね。」


「席あるかな。12人まとめてはムズい、難いかも。」


「あ、武佐士、そっち、右の奥、席、押さえて!」

大きな声で晴子さんの緊急指令。


「オッケ!席は任された。晴子は俺の分オーダー頼む。

ネギトロ丼、大盛り。」

ちょっと距離があるから、自然と声が大きくなる。

周囲のみんなにもよーく会話が聞き取れる。


「いいよ!席は頼むね。」

と、言いながら晴子は振り返る。


待ち構えた、高井ちゃんが不思議そうな顔で、

「ねぇ、武佐士くんは、いつから晴子の名前、呼び捨てなの!?」


「あれ、そうだった?私も知らない。」


「あーぁ、いいなぁー。」


「ぇ、なにそれ。何にもないよ。」


「だって、先週、下見とかで二人だけで水族館行ったんでしょ?」


「でも、何もなかったよ。」


「でも、いいなぁ。」

高井ちゃんの心の叫び。


「何もないんだけどね。」







「12席確保したけど、あれ、10人しかいないぞ。」


「浅野と斉藤さんが抜けたんじゃないの?」


浅野はいた。

「僕も瑠奈ちゃんもいるよ。」


「わー!!瑠奈ちゃん!だって。

浅野くん、素敵!ルナル、やったね!」


「ちょっとぉ、恥ずかしーよー。」

まだまだ慣れていない斉藤 瑠奈。


「じゃあ、誰がいない?吉本がいないよ。」


「椋ちゃんもいない。」


「吉本と椋尾さん、迷子かぁ?」


「違う!!あの二人!!やりやがった!!」


「抜け駆けだ!!」


「やーん、椋ちゃん、やったね。」


「メッセージ来てるよ。【先帰る】って。」


「やられたぁぁーーー!」

佐藤くんが一番悔しそうで。







そんなこんなで、水族館デート。


もしも、あの時、ああなっていたら。

それとも、こうなっていなかったら。


パラレルワールドの別の世界線、のぞいてみませんか。







おしまい。


この後、あとがき、予定しています。

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