第29話 聖騎士

 ここに戻って来た。いつもの生活だ。ただ違うのは、りあが妻で、ルーが娘と言うことだ。


 爺さん…ここに戻すたびに記憶操作してくれるのは、正しいことなのか?


りあを見つめて👀問いかける。


【なぁ、何も覚えてない?】


りあ、ポカーンとして、


【あなた、大丈夫?何いきなり?なんかあったの?】


ルーも、


【お父さん変なのー、ねっ、今日の空手の練習見に来てくれるって言ったよね?】


空手。ルーはそう言う設定だったのか。


【習っていたんだっけ?あっ、空手ね。うん見に行こう】


りあは、おでこに手を当てて、


【熱…無いね。じゃ、脳の検査受けて見たらどう?やっぱりおかしいわよ】


 こんなんでいいの?普通の日常なのに戦いが待ってるというとんでもない違和感がある。


 それにさ、りあは俺のこと本当に好きなのか解らないし、ルーだってそもそも娘って設定に無理がある。


爺さん…この記憶操作、正しいこと?



もう、必要ないよ、爺さん。


 こんな風な生活はこの戦いが終わった後にすることだ。それも自分自身で切り開く。


【爺さん、来てくれ!!覚悟は決めた】


りあは、


【あなた…何がどうしたの?】


ルーも、


【わーん😭お父さんが壊れちゃった…】



………………………………………………………



※ドスン!!※


【涼殿、覚悟の声を確かに。それ!!】


りあは、


【私は何して…何かこのダサい服は?】


ルーも、


【りあちゃん、それ何?ケゲッ!?私も…】



俺は、爺さんに、


【爺さん、もう記憶操作はいらない。戦うしかないよな。俺にしか出来ないこともあるんだろ?】


りあも、ルーも、


【記憶って?】

【誰のこと?何の記憶?】


爺さんは、


【すまんの、ちょいとお主達の記憶を変えさせてもらっての。りあ殿、ルー殿。もう記憶操作は必要ないんじゃ。なぁ、涼殿。じゃ、こんな年寄り演じる必要なさそうじゃ、それ!!】



爺さんは…もう爺さんとは呼ばないな。


その姿は、騎士そのものだ。


 その男は銀色に輝く鎧を纏い、大きな剣を装備している。


【俺は聖騎士のフェザー。涼、今はとりあえずこの剣を使ってくれ。それと、りあ。この盾を、ルーはこの鎧を】


爺さんは、聖騎士だったのか。


 そのフェザーと名乗る男は、全ての装備をみんなに渡して、自分は皮のジャケットのみに。


【あの、爺さん…じゃないか。フェザーさん。装備は?みんなに渡してしまって自分のは?】


【ああ、俺はこれがあれば戦える】


ブレスレット…そんなんで?


【いずれ解る。お前達のその装備は特殊な金属で出来ている。火、雷には耐性があるから安心しろ。私のブレスレットもな】


ルーは、


【私もブレスレットがいい!!この鎧ダサいから嫌!】


……ルー、そういう問題じゃないだろ?

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