第22話 コントロール

 なんだ…全身の力が抜けていく…倒れる…


【危ない!!】


 りあの腕の中に包まれるように受け止められた。なんとなく意識はあるのだが、動けない。


 そして、なんという心地よさ。りあ、ほっとするよ。そして、眠くなる…


ルーの大きな声が、


【お爺さん、敵!!地平線の向こうから凄い数の!!りあちゃん私が相手を。下がって!!】


【これまでかの…あれほどの規模の敵は、すまん、わしの力不足じゃ…ならばわしが!!】


りあは、


【みんなで立ち向かいましょ!!最後の力を、誰かだけの犠牲なんて耐えられない…】



その瞬間、光のカーテンが現れた。



突進した敵は次々と消えていく…



朦朧とした中でその全てを覚えている。



爺さんは、


【なんじゃ?これは?何が起きてるんじゃ?】


りあ、ルーも


【えっ?吸い込まれてるの?】

【助かったの?あの数の敵が全て消えた?】



その後のことは覚えていない。


俺は完全に意識を失った。



………………………………………………………



うーん…


まだ眠いや…



………………………………………………………



柔らかいな、心地いいな。


おでこに手を添えてくれてるの?


最高だな、この心地よさ…



………………………………………………………



【気がついた?もう、焦ったよ】


ルー…特殊回復魔法を俺に…


【ありがとうな…ルー、もう大丈夫だ】


その声を聞いたルーは、


【うん…良かった…】


俺の寝ている横に倒れ込むように、


寝息立ててる…無理したんだな。


ルーを見つめてると、こんな小さい体で、


無理してくれていたんだと。


また俺のせいでみんなに迷惑かけて。



りあの大声が、


【あー!!涼くん!!何イチャイチャしてんの!!ルーちゃんも疲れ果てたフリして!!】


ルーも、


【バレちゃった?私、涼さんのこと好きになっちゃったみたい!!負けないからねー】


嬉しいんだけど、体力を回復させないと、


そこに来た爺さんが、


【お主、何も覚えておらんか?】


【…何も…なんかあった?…】


【お主のお陰で全ての敵は全滅じゃぞ。なんという力じゃ。コントロール出来ないのも当然じゃ。もう敵はおらんぞい!!終わりじゃ。これでお主は未来を変えたんじゃ。英雄じゃ。さて、お主とはここでお別れじゃが、お主の末裔であることを誇りに思うぞい。ありがとうな、本当にありがとう。それじゃ、お主らをみんな元の時代に戻す。みな、元気でな。グレイチーム解散じゃ。それ!!】


あっ、そんな、まだ、りあとルーと話を!!



………………………………………………………



【あなた、起きて!!今日は遊園地🎡に連れて行ってくれる約束でしょ?】


あなたって?誰に話してるの?


遊園地🎡?


誰と行くの?


目を開けると、いつもの部屋。


キッチンで料理を🍳作ってくれてる女性…


りあ、戻ってなかったの?


【りあ!!良かった。まだ話してないことがあったんだよ。あのさ、おれ…フガ!!フガ?】


【お父さーん、早くゆうえんち🎡いこーよー、がんばって休まずに学校いったよ】


後ろから抱きついてくる娘…ルー!!


りあは、


【ルー、お父さん苦しいって。早く食べて行こうね。あなたも早く食べて…どうしたの?】








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