第18話 記憶

何だ、あの敵は。


 見たこともない大きな、とてつもない装備をしてる。これはただ事ではない。


とにかくここは下がろう。ルー?


【デカいだけで、鈍いだろ。こんなの簡単だ】


ルーは立ち向かっていった。


【これ!!ルー殿、下がれ!!!】


 その瞬間、ルーは中を舞う。とっさに俺はルーの着地点に走り込んだ。


【ご…ごめんなさい…】


 少女のルーに戻ってる。バーサーカーモードでなく、いつもの。


【涼くん、危ない!!】


俺達をかばった、りあが!!


【逃げるのじゃ、こやつだ!!ここで地球は侵略され始めたのじゃ。別のチームが合流するのを待つのじゃ】


俺はりあを抱え、ルーを抱え、走り出した。


【涼くん…私を置いてルーと逃げて…】


【出来るわけないだろ。黙って担がれろ】


 逃げ切れるか、爺さんも必死に応戦してくれてる。


何とか振り切れたか…もう体力が限界だー。


りあも、ルーも何とか無事だ。


【ふー、ようやくわしの出番じゃ。涼殿、わしは未来のお主の血を引く者じゃ。あまり詳しくは教えるわけにはいかんが、こやつを倒せば】


【爺さんも逃げろって!!】


【すまんのー、巻き込んでしまって。幸せな世界が待っていることを信じとるぞ!!】


爺さんは、持っていた杖を掲げて、


【さぁ、ここで全ての力を解放するぞい!!その前にお前達を元の世界に返すからの。元気でな。それ!!】



………………………………………………………



あの時を過ぎて半年…


 爺さんがどうなったか覚えていないが、戦いの記憶だけは残っている。りあも、ルーも、自分達の世界に帰ったのだろう。


 俺は何も出来なかった…この世界が続くその先に俺の子が、孫が、やがて、あの爺さんが生まれてくる。


 普通に会社に行き、ただ仕事して帰って、終末はのんびりとして、虚脱感というのが正しいか、無力感というのが正しいのか…


俺に秘められていた力は結局使えなかった。


※プシュー!!※ ゴクゴク…


 土曜日、夕方のにぎやかな会話が聞こえてくる。変わらないな。お団子🍡を買う人や夕飯の買い物に来る人達。


戦いなんて無縁の世界だ。


※ドサッ!!※


わっ!!誰?


相変わらずいきなりなんだよな。






 

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