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その若竹姫の言葉を聞いて、あからさまに白藤の宮は(本当にがっかりした、というような)残念と言うような顔をした。
「そうですか。女の人ですか。とても素敵な男の人ではないのですね」と白藤の宮は若竹姫の顔をじっと見ながら言った。
「はい。とても素敵な女の子です」とふふっと笑って、若竹姫は言う。
少しこのお話に興味がなくなった、という顔をしていた白藤の宮だったけど、少ししてからなんだかとても(だんだんと)その若竹姫の友達の花火職人の女の人に興味が湧いてきたようで、「若竹姫。その女の人は、どんな女の人ですか?」と好奇心旺盛な子供のような顔をして(大きな黒い目が、きらきらと輝いていた)若竹姫を見ながら白い歯を見せてそう言った。
「どんな、と言われても、別に普通の女の子ですよ。私とおんなじで、とくになにか、どこか体や性格などに、とても特徴のある女の子というわけではありません。すごく素敵な女の子であることは間違い無いですけど、どこにでもいる普通の都で暮らしている女の子です」と、(その女の子のことを思い出しながら、眉を八の字にして)若竹姫は言った。
「年はいくつくらいの人ですか?」白藤の宮はいう。
「数え年で十六になります。私と同い年の子です」若竹姫は言う。
「その年で、もう一人前の立派な花火職人として働いているのですか?」まあ、と驚いた顔をして(口元に手を当てて)白藤の宮は言う。
「はい。そうです。今年の都のお祭りの黄泉送りの花火も、その女の子が作った花火の組(月家)の花火が上がるんですよ。みんなのために一生懸命、頑張るんだって、汗だくになりながら、言ってました」白藤の宮の顔を見ながら、若竹姫はいう。
「素敵ですね」と白藤の宮はにっこりと笑って、言う。
すると、なんだか白藤の宮の顔と、その花火職人の女の子の顔がふと重なり合うように見えて、若竹姫は少しだけ驚いた。
……、そういえば、二人はずいぶんと雰囲気が似ている気がする。(白藤の宮になんとなく似ている、そういうところにも惹かれて、若竹姫は自分が彼女と友達になったのかもしれないと、このとき初めてそう思った。彼女に出会ってから、今まで、そんな風に思ったことは一度もなかったけれど)
「その女性はなんという名前の女の子なんですか?」わくわくしながら、白藤の宮は言う。
「はい。玉姫と言います」と(玉姫のことを思い出しながら)若竹姫は言う。
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