花灯の誓い
清風 颯
第1話 灯篭流しの火を見つめて
ここは江戸の城下町、華やかな町であり夏の終わりの川での灯篭流しの日で、誰も彼も祈り亡くなった愛する人を想う大切な日であった。
神聖な気持ちで誰よりも祈る少女がいた、澪。
亡くなった父や母のことを思い、静かに灯篭を流す姿があった。
この日は少し寂しくて、涙を流してもいいのではないかと思う。
澪は両親が亡くなり、神社に預けられ巫女として働いていた。
厳しいが優しい神主と、神に人々の幸せや、安らぎを祈るのが仕事だった。生きがいとも言えるだろう。時には儀式や悩み相談、中にはいつのまにかについていた力を使って除霊をする日もあった。これはとても体力的にも厳しい。修行で時には禁じられているものもあり、簡単には使うことはないようにしていた。とても注意深く生活をしていた。
夏の祭りでも、近所の娘達は着飾り、恋仲になっているものもいた、仲間とにぎやかに楽しむものもいる。賑やかな露店で大笑いし、たくさんのものを買っているものもいる。
澪は地味な格好しか持ってないしお金を持たされることもなかった。また、大人しいので男性との会話も上手く出来ないし、年頃20歳になっても特に華やかな話はなかった。
友人と言える人もほとんどなく、神社で人の悩み相談を受けても他言は禁止。神社以外でも、近所の手
伝いや掃除など無償で笑顔で行う澪は、近所から信頼される巫女ではあった。
祭りは自分が楽しむ為ではなく、誰か困っている人のお手伝いをするた為で、小さな子供が迷子になったら送ってあげるなど、大人しく周りの人を大切にしながら過ごしていた。
そしてわずかな時間であったが大好きな人と久し振りにすれ違った。篤郎だった。
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