第2話 一生ここに
翌日、佑は体に違和感を覚え目を覚ました。
(なんか、、重い、、)
そんなことを思い目を開けると、とんでもない状況が目に入った。
(は?)
佑が寝ている横で、昨日の女の子「山口歩美」が添い寝のような形になるように寝ていた。
「おい!なんで俺の横で寝てんだ!」
俺の大きな声とともに歩美も目を覚ました。
「ん~ごめんごめんつい寝顔が可愛かったから~一緒に寝ちゃった的な?」
「寝ちゃった的な?じゃあないんだよ!」
「ごめんごめ~ん、まあうちみたいな可愛い女の子と寝れてラッキーだなーぐらいに思っといて~」
「思えるか」
確かに顔は整っている。ぱっちりとした二重にきれいな金髪の髪。体系は少しやせ細っているが、とても美形な女の子だ。あと、何が言わないがちょっと柔らかかった気がする。
「それにしてもお腹が減ったな、昨日も飯食わずに寝たし」
「まじ〜?じゃあうちが朝ごはん作ってあげる!」
「いいよわざわざそんな」
「泊めてもらったお礼だと思っといてよ!冷蔵庫勝手に覗いていい?」
「いいけど大したもんないぞ」
「まあ任せて!」
そして歩美はおもむろに冷蔵庫を開け、料理を始めた。
「はい!出来たよ!」
そこにあったのは卵焼きとご飯、そして野菜の入った味噌汁だった。
「味は期待した方がいいのか?」
「まあ食べてみてよ!」
祐は卵焼きを口に入れた。
「おお!美味いな!料理得意なのか?」
「料理も得意だし家事全般出来るよ!」
「そうかそれはすごいな」
そして佑は全て完食した。
「美味しかった。ありがとう」
「どういたしまして〜」
「、、、ところで、いつ帰るんだ?」
「ん〜」
「てか今すぐ帰ったらどうだ?親とか心配してないのか?」
1日なにも連絡せずに佑の家にいるんだとしたら親は心配するだろう。しかしその話を振った瞬間、歩美は表情を暗くした。
「親なんて、、心配するわけないよ」
「どういうことだ?」
「うちの家には両親は大体いないよ。どっちもうちに興味無いし、ほぼ別居してるみたいな感じ」
「そうか、でもさすがにずっと泊めさせる訳にもいかないし」
どうやら歩美は両親と仲が良くないらしい。だから時々両親が家にいる時はこうして外に出歩いたりするらしい。
「私、生きてて楽しくないんだよね。やりたいことも無いし、誰かのために生きてる訳でもないし、楽しめることも何も無い」
「、、歩美は学校は行ってないのか?今何歳だ?」
「私は今高校1年生だけど、、学校全然行ってないし友達もいないから楽しくない」
「そうか」
思ったより大分深刻なようだった。
「だからもう生きるの諦めよっかなって、最近はなんもせずダラダラ過ごしてるけど、そんなんじゃ楽しくないし生きてる意味を感じないから、、だから、、正直に言ったら死のうかなって」
歩美は今にも泣きそうな声で言った。
「死ぬのはダメだ!絶対に!」
佑は声を荒らげて言った。
「え、、、?」
歩美は大きな声に驚いたと共に少し困惑した。どうやら死ぬのを否定されると思わなかったらしい。
「生きてれば絶対に楽しいことはある。絶対にだ。俺が証明してやる。」
「そうかな、、」
「お前は俺ん家に住め」
「え、、、?なんで、、、?」
「どうせ俺が今ここから追い出したら死のうとするんだろ?それならここに一生いろ」
「で、でも、、迷惑だし、、」
「お前さっき言ったよな?誰かのために生きてないって。じゃあ俺のために生きろ、俺のために人生を尽くせ」
佑の思わぬ言葉に歩美は困惑したが、すぐに言葉を返した。
「いいけど、佑のためになるかも分からないし、、迷惑かけるだけかもしれないし、、」
「迷惑なんて思わん。なんなら俺のためになろうなんて思わなくていい。生きてるだけで十分だ」
「ありがとう、、お言葉に甘えてそうしてみようかな」
「ああ、よろしくな」
そうして、佑と歩美の2人の奇妙な同居生活が始まることとなった。
「それでうちは何すればいい〜?」
「なんか急に元気になったな」
「元気を分けてもらったからね!何すればいい?」
「まあ家事全般やって欲しいかな、洗濯とか皿洗いとか?まあ全部やらなくていいけど、そこら辺やってもらいたいかな」
「りょ〜じゃあ全部やっとくね〜」
「おう」
そして歩美は家事を始めた。歩美の手際はとてもよくすぐにでも終わりそうだった。
「めっちゃ手際いいな!家ではずっと家事してたのか?」
「そうだね〜親もいないし自分でやらないといけなかったし」
「すごいなちゃんとやってるの、尊敬するわ」
「佑の家の状況は大分マズいと思うけどね〜」
佑も一人暮らしだが、家事がめっぽう出来ないので洗濯物もたまっているし、洗い物も全然していない。片付けもあまりしていないのでかなり汚かった。
「しょうがないだろ、家事苦手なんだから」
「洗濯終わった!じゃあ次部屋の片付けするね〜」
「おう、サンキュー」
「隅々までしようと思うけど大丈夫?エロ本とかない?」
「ねえよそんなもん」
「りょ〜」
そして歩美は部屋の片付けをし、さらにその後皿洗いも済ませた。
「ありがとう!めっちゃ助かったわ!まじサンキュー!」
「そ、そう?役に立てたなら良かったけど」
「うん!まじありがと!じゃあせっかくだし出掛けるか」
「出掛ける?なんで?」
「服ないだろ?だからお礼として買ってやるよ」
歩美はいきなり俺の家に住むことになったので服はもちろん着てきたものしかない。
「そんな別に、、家に1回戻れば持ってこれるけど、、」
「でも、戻りたくないんだろ?」
「、、、」
「そんな細かいこと気にすんなって、ほら行くぞ」
「、、うん」
そして2人は近くのショッピングモールへと向かった。
「ねぇねぇ!こんなのどう?」
(ほんとに感情の起伏激しいな!)
「うん、いいんじゃないか?」
「可愛い?どう?可愛い?」
「あーうん可愛い可愛い」
「絶対思ってない!」
「ほら、いいから他のも選んでくれ」
「りょ〜」
さっきとは打って変わってとても元気になってて佑は少しほっとした。歩美はどんどん他の服も着ていった。
「ほら!こんなのどう?」
「ちょ!おい!」
驚いた佑の視線の先にあるのはブラジャーを試着した歩美だった。
「ねぇねぇ〜どう?」
「うるせえビッチ早く決めろ」
「ひどい!」
(それにしてもでk、、、)
佑はそんなことを思ったがすぐに記憶から抹消した。
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